環境に敏感な子知って 5人に1人 不登校の遠因にも

西日本新聞 一面

 新たな環境への適応に時間がかかったり、叱られると大きなショックを受けたりする子どもの存在が近年の研究で明らかになった。発達障害とは異なり「HSC(人一倍敏感な子)」と呼ばれる性格の一つで、5人に1人は該当するとの海外の調査結果もある。学校の環境次第では不登校につながる可能性もあり、識者は「子どもが安心できる居場所づくりが必要だ」と訴える。

 福岡県の40代の女性は、小学4年生の娘が不登校になり悩んでいた。2年生のときに、突然「行きたくない」と泣きながら布団に潜り込み、不登校になった。

 当時、大好きだった祖父が亡くなったばかりで、夫の転勤に伴う転校も控えていた。こうしたストレスが原因だと思っていた。

 ところが、転校先でも学校に行くのを嫌がった。学校行事に連れて行くと、同級生たちが「一緒に遊ぼう」と集まってきたが、参加しなかった。体育の授業では、教員の怒号を聞いて「怖い」とおびえた。

 そんな頃、ある出版社から送られてきたメールマガジンの特集で「HSC」を知った。「うるさい場所を嫌がる」「否定的な言葉でダメージを受ける」「大きな変化に対応できない」などの特徴が記されていた。多くが娘と一致した。

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 HSCは米国の心理学者が2002年に提唱した。真生会富山病院(富山県)の心療内科医、明橋大二さん(59)が15年に心理学者の著書を翻訳し、国内でも広まるようになった。

 23項目のチェックリストがあり、13項目以上が当てはまればHSCの可能性があるとされる。明橋さんによると、米国など数カ国で行った調査では子どもの15~20%がHSCの可能性と指摘された。

 HSCは必ずしも不登校と結びつくわけではないが、明橋さんは「嫌がることを無理にさせればパニックになることもある。それはどんな子も同じで安心できる学校環境が求められている」と話す。

 娘が不登校になった理由の一端が見えた女性は今、娘が我慢せずに「学校に行きたくない」と言ってくれたことを前向きに捉える。何げない日常の会話を重ねながら、娘に向き合っている。

■九州の不登校1万4220人 17年度、小中学生

 文部科学省の調査によると、全国の小中学校で2017年度に不登校だった児童・生徒数は過去最多の14万4031人(前年度比約1万人増)。このうち10万8999人を占める中学生は、およそ30人に1人が不登校となっている。九州7県では1万4220人(同約800人増)だった。

 文科省は、不登校について病気や経済的な理由以外で、年間30日以上欠席する児童生徒と定義。最も多い理由は家庭の状況で、友人関係、学業不振と続いた。いじめは0・5%だった。

 九州の県別では福岡の5641人が最多で、熊本、鹿児島、長崎が続いた。人口千人当たりでは小中学校とも大分が最も多かった。

 日本財団は昨年12月、インターネットを通じた調査で、30日未満の一定期間休んだり、教室外に登校したりする「不登校傾向」の中学生は約33万人いるとの推計結果を公表した。

 福岡県の小中学校でスクールカウンセラーを務める筑紫女学園大の大西良准教授(社会福祉学)は「子どもがマンツーマンで悩みを打ち明けやすい環境を整備する必要がある」と指摘する。

【ワードBOX】HSC

 ハイリー・センシティブ・チャイルド(人一倍敏感な子)の略。障害ではなく、持って生まれた性格の一つ。注意力にたけ、他者の気持ちにも敏感などの傾向がある。「大きな変化にうまく適応できない」など23項目のチェックリストに13項目以上当てはまれば、HSCの可能性が高いとされる。教師の怒号といったストレスの多い環境にも反応しやすい。子どもにとって安心できる学校環境になっているかどうかを、いち早く知らせてくれる存在でもある。

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