「ハイテンションボルト」が足りない 五輪建設ラッシュで8カ月待ち、国交省は異例措置 スーパーもスタジアムも工事遅れ

西日本新聞

全国的に入手困難な状況が続いている「高力ボルト」(下)。長さ10センチ程度が一般的で、ナット(左上)と座金(右上)を組み合わせて使う。(国土交通省提供) 拡大

全国的に入手困難な状況が続いている「高力ボルト」(下)。長さ10センチ程度が一般的で、ナット(左上)と座金(右上)を組み合わせて使う。(国土交通省提供)

高力ボルトを取り付ける作業員。溶接をせずに鉄骨をつなぐことができる(国土交通省提供) 長崎市の稲佐山に新設されるスロープカーのデザイン。高力ボルト不足で工期が大幅に遅れている(長崎市提供)

 「ハイテンションボルトを探しています」。特命取材班に、関東や九州の読者からSOSが寄せられた。

 ジャマイカの元陸上選手ウサイン・ボルト氏が、100メートル走の世界記録を更新して歓喜する姿が脳裏に浮かんだが、ビルや橋などの建設に使う「高力ボルト」のことだった。建設現場で何が起きているのか。

 橋や鉄骨構造物を建設する際、金属板や鋼材をつなぎ合わせるには、かつては溶接や、びょうを打つリベット接合が一般的だったが、手間がかかる。高力ボルトは普通のボルトよりはるかに強い力で締め付けられ、摩擦力による「摩擦接合」で鉄骨をつなげる。耐久性があり、引っ張りにも強い。団塊世代の退職ラッシュで深刻化した溶接工不足も、普及に拍車をかけたという。

 神奈川県内の建設業者によると、昨夏から高力ボルトが入手しにくくなり、昨年末に着工予定だったマンションの建設がストップ。当初は今年5月末に完成予定だったが工程が組めなくなった。「資材の置き場所代や工期延長による経費がかかる。施主にとっても、完成が遅れた分、銀行からの融資の金利が負担になる。建設業者、工務店、施主の三者が共倒れしかねない」と悲鳴を上げる。

 ボルトが入手できず、完成遅延による損害賠償請求に発展した事例もあるほか、通常の数倍の単価で取引された例もあるという。

 九州でも佐賀県や長崎県のスーパーの着工が遅れるなどしており、福岡市内の建築事務所は「『品質に不安がある海外製のボルトを使わざるを得ない』という声も出ている」と打ち明ける。

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