フィルム写真守り続ける 創業74年、博多区の近藤カメラ

西日本新聞 ふくおか版

 福岡市の博多駅そばのビルに、フィルムカメラを愛用するプロの写真家らに評判の老舗カメラ店がある。平成の時代に誕生し、その場で画像を楽しめるデジタルカメラは新時代の令和になっても主流だ。フィルムカメラはもはや時代遅れとなったが、「温かみのある色合い」を求める人々にとっては手放すことができない“相棒”。博多のカメラ店は「思い出の色」を一緒になって探し当て、再現してくれる頼りになる存在という。 

 創業74年の「近藤カメラ」は福岡市博多区の福岡朝日ビル地下2階に店を構える。移転前の博多駅があった旧馬場新町(現祇園町)に1945年、「近藤写真材料店」として開業。5年前に現在地に移転した。

 社長の近藤晃さん(46)は3代目。初代は祖父の故圭三郎さんで、晃さんは98年に父の勉さん(79)から後を継いだ。一昔前であれば各地にあった、写真の現像や証明写真を手掛ける「まちの写真屋さん」であり、中古フィルムカメラの修繕や販売なども手掛ける。

 「デジタルでは出せない色の温かみがフィルムのプリント写真にはある」。そう信じている晃さんは祖父や父親から受け継いだ、忠実にフィルム写真をプリント化する技術を今も大切にしている。

 晃さんは、写真一枚一枚の個性を引き出す点を重視する。色味の階調を微妙に変えた幾通りものパターンを用意し、お客さんと一緒に「一番しっくりくる」1枚を探し当てる。職人技であり、遠方からわざわざフィルムを郵送するお得意さんも多い。「この色味なんですよ、と喜んでくれるお客さんの顔を見るとたまらなくうれしい」という。

 2000年代に入り、デジタル版「三種の神器」として登場したデジカメ。カメラ映像機器工業会によると、02年に国内外の出荷台数でフィルムカメラを逆転。スマホの急速な普及も相まってフィルムカメラは市場から姿を消した。データ保存が主流となり、アルバムを残す習慣も薄れつつある中、晃さんは「現像が必要でプリントして初めて『思い出』がよみがえるのもフィルムカメラの良さなんですが…」と寂しく語る。

 フィルムの値上げもあって、フィルムカメラは苦境が続く。それでも、晃さんは決意する。「ファインダーをのぞくカメラマンの思いが引き立つベストを追求し、世界に1枚だけの写真を作り出したい。時代が変わっても、本物は絶対に生き続けると信じています」

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