石木ダム明け渡し9、11月まで 長崎県収用委通知 建物有無で期限

西日本新聞 社会面

 長崎県と佐世保市が同県川棚町に計画する石木ダム建設事業で、反対地権者所有地の明け渡しを命じる県収用委員会の裁決書が3日、各関係者に届いた。5月21日付。ダム建設予定地からの移転を拒む13世帯などが所有する約12万平方メートルを11月18日までに明け渡すよう命じる内容。所有権は国に移り、建物を強制的に撤去する行政代執行が可能になる。

 裁決書によると、土地の明け渡し期限は建物の有無で異なり、ない場合は9月19日、ある場合は11月18日。県に対しては、9月18日までに全ての地権者376人に補償額計約11億8300万円の支払いを命じた。

 県は2015年7月以降、ダム本体部約3万平方メートルを含む計12万平方メートルについて県収用委に裁決を申請。収用委は土地の範囲や補償額が適切かどうか協議してきた。中村法道知事は取材に「円満に解決したい気持ちは変わらないが、行政代執行も選択肢の一つ。訴訟や工事の進み具合を勘案して総合的に判断したい」と語った。佐世保市の朝長則男市長は「土地をお譲りいただくことが最善だった。任意での解決に至らなかったのは大変残念な思いがある」との談話を出した。 

■「抑え付けおかしい」反対の地権者

 石木ダム建設のため、用地の明け渡しを命じる長崎県収用委員会の裁決書は、建設に反対する同県川棚町の地権者にも届いた。ダム建設反対を訴えて約40年。この日も地権者や支援者は、水没する県道の付け替え工事現場で座り込みを続けた。

 その中の一人、岩本宏之さん(74)は午後4時半ごろ、「特別速達」と赤い印が付いた封筒を受け取り「いまさら驚きはない。変わらず、ここに住み続ける」。県が家を撤去するため重機を入れるような事態になれば「前代未聞の汚点を残す」と淡々と語った。

 石丸勇さん(70)はあえて、届いた封筒を開かなかった。裁判でダムの必要性を争っているさなかの土地収用の手続きは、納得できない。「話し合う姿勢がないまま、地権者を抑え付けるやり方はおかしい」と話した。

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