吹いているのか、いないのか…

西日本新聞 オピニオン面

 吹いているのか、いないのか。永田町は疑心暗鬼の様相だ。衆院の「解散風」。安倍晋三首相は「風は気まぐれでコントロールできるものではない」と周囲をけむに巻く。首相の一存で決まる話なのに人ごとのようだ

▼無論、解散の大義は見当たらない。としても、首相は過去に2度、不意打ちで特権を発動している。衆参同日選の臆測に、与野党双方が浮足立つのは無理からぬ話か。もっとも政治家が国民の審判を恐れるのは健全な姿でもある

▼事情が異なるのはお隣の中国。共産党指導部はあの惨劇を「政治風波」と表現し、弾圧の非を認めていない。30年前のきょう、民主化を求めて北京に集結した学生らを武力排除した天安門事件のことだ

▼「風波」とは中国語で騒ぎ、いざこざという意味。それでは犠牲者が浮かばれないという声がくすぶる。それも、国政選挙の仕組みがない一党独裁の指導部にすれば、どこ吹く風なのか

▼いや、そうではなかろう。事件に関する言動を過敏と思えるほど厳しく取り締まる。それは歴史が掘り起こされ、政権不信が再燃するのを恐れているからこそ

▼どんな為政者であれ、意のままにコントロールできないのが民意の風向き。そして権力の横暴を知る人々の記憶はそう簡単に風化しない。中国の姿は他山の石であろう。首相は気付いているだろうか。気まぐれ、いや独善で権力を振りかざせば、重い付けが回ってくる。

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