緑茶の魅力、スイス人発信 九州ブランド欧州輸出 八女、知覧、東彼杵、宮崎

西日本新聞 社会面

手作りのラッピングを手に九州産緑茶をアピールするジョエル・ブロイゼさん(左)とアルド・ブロイゼさん 拡大

手作りのラッピングを手に九州産緑茶をアピールするジョエル・ブロイゼさん(左)とアルド・ブロイゼさん

 九州産緑茶の奥深い風味に魅了され、ブランド茶「八女茶」など数種類を欧州各国に輸出している福岡市在住のスイス人夫妻がいる。アルド・ブロイゼさん(46)と妻ジョエル・サムブク・ブロイゼさん(40)。合同会社「IKKYU(一休)」を営み、九州の産地情報や生産農家の人柄も一緒に発信している。夫妻は「お茶の伝統文化と九州の美しい茶畑を海外に広め、インバウンド(訪日外国人客)誘致にもつなげたい」と話す。

 日本茶は近年、健康志向などを背景に欧米で人気を博しているが、主力は宇治の抹茶や京都、静岡産となっている。

 これに対し、夫妻がIKKYUで輸出しているのは、福岡県八女市が産地の「八女茶」▽長崎県東彼杵町の「そのぎ茶」▽鹿児島県南九州市の「知覧茶」▽宮崎県産茶‐の煎茶、玉露、釜いり茶など九州産のみ。福岡市で商品の紹介イベントを開くと、買い物客から「古里のお茶を外国人が取り上げてくれた」と感激されることもしばしばだ。

 来日は15年以上前にさかのぼる。緑茶は「回転ずし店やペットボトルで飲む程度」(ジョエルさん)で、関心は薄かった。長男と3人で東京暮らしをしていたが、東日本大震災(2011年)を機に福岡市に移住。ジョエルさんは大学教員、アルドさんはホームページ制作の仕事に携わった。

 14年に転機があった。夫妻は南九州市を旅行で訪れ、知覧茶を初めて口にした。その玉露は、熟成されたワインを開けた時のような芳香を感じさせ、緑茶に抱いていた概念が一変した。アルドさんは東彼杵町で茶摘みも体験し、夫妻とも引き込まれるように茶の歴史や味わい方、製法を学んでいった。

 17年には「九州産緑茶を楽しみ、正しい飲み方も広めていこう」とIKKYUを設立。福岡県などが出資する貿易会社の仲介も受け、茶農家を訪ね歩き、仕入れ先を拡大している。

 インターネットを通じて海外の顧客に届ける茶葉には、茶の入れ方と茶栽培の様子など、生産者の「顔」が見える印刷物を添える。外国人が喜ぶ和紙と帯で丁寧に包装し、高級感も演出。今後、インバウンドを含め日本国内での販路開拓も目指す。

 社名には、茶のイメージの「一休み」や九州の「九」、さらに「九州一番」という夫妻の思いが込められている。「茶は『外交官』。飲むと人や土地、文化を伝えてくれる。九州の緑茶ブランドを後押しし、地域を盛り上げたい」。IKKYUのホームページ=https://ikkyu-tea.com/

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