九州も梅雨入りの季節…

西日本新聞 オピニオン面

 九州も梅雨入りの季節。雨に煙る街並みを眺めながら、ふと考えた。雨って何色だろう

▼北原白秋作詞の「城ケ島の雨」には〈利休鼠(ねずみ)の雨がふる〉。「利休鼠」は暗い灰緑色。わび茶を大成した千利休が好みそうな渋い色だ。松山千春さんの名曲は「銀の雨」。〈貴方(あなた)の夢がかなう様(よう)に 祈る心に銀の雨が降る〉

▼八神純子さんの伸びのある高音が印象に残る〈ああ みずいろの雨〉。水色といえば〈みずいろは涙いろ〉と歌いだすあべ静江さんの「みずいろの手紙」が懐かしい

▼瀬川瑛子さんの「涙色」は〈涙の色は… オリーブの花を 優しく濡(ぬ)らす雨の色〉と。切ない思いを雨に重ねる歌が多いけれど、「雨の中の二人」で橋幸夫さんは〈雨が小粒の真珠なら〉と歌った。別れを惜しむ恋人たちには、キラキラ輝く真珠の色に見えるのだろう。〈濡れてゆこうよ何処(どこ)までも〉

▼雨を歌った童謡も。〈雨がふります 雨がふる 遊びにゆきたし かさはなし〉で始まる「雨」はどこか悲しげ。一方、かあさんのお迎えがうれしくてたまらない子どもの気持ちが〈あめあめ ふれふれ〉と明るく弾む「あめふり」。どちらも白秋の作詞なのがおもしろい

▼本来、水の粒である雨は透明のはず。見る者の思いを色にして映し出す水晶玉か。人の心の数だけ雨の色もあっていいが、74年前に広島と長崎に降った「黒い雨」だけは絶対に見たくない。

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