梅雨本番へ 豪雨から「命」守る備えを

西日本新聞 オピニオン面

 九州は本格的な雨の季節を迎えた。南部は既に梅雨入りが発表された。北部も間近とみられる。湿気を多く含んだ空気に、特別な警戒感を持つようになった人は、少なくないだろう。

 九州の梅雨は、平年で南部が7月14日ごろまで、北部が同19日ごろまで続く。今年は長引く恐れもあるという。特に7月以降の「梅雨後期」に、豪雨がもたらされやすいとされる。

 昨年は7月上旬、福岡、佐賀、長崎3県を皮切りに計11府県に大雨特別警報が出された。警報通りの大雨が広大な地域に被害をもたらした。西日本豪雨である。記憶はなお生々しい。

 とりわけ岡山県では、倉敷市真備町一帯で住宅街が濁流にのまれ、多数の犠牲者が出た。同県はそれまで「晴れの国おかやま」をうたい、降雨災害の少なさをPRしていた。日本中どこに住んでいても油断はできないという教訓を改めて示した。

 今季から注意したいのは、気象庁と自治体が発表する大雨に関する情報である。「種類が多くて分かりにくい」と指摘されてきた情報を、5段階に整理した。危険度に合わせ、警戒レベルを1から5に上げていく。

 例えば注意報はレベル2とし住民に「避難準備」を呼び掛ける。レベル4は避難の勧告もしくは指示の段階で「全員避難」を促す。大雨特別警報は最高のレベル5に当たり「命を守るための最善の行動」を訴える。

 基本は以前と変わらないが、危険度を示す気象庁と、実際に避難情報を発する自治体の連携面で、当初は混乱する懸念もある。気象庁ホームページなどを通じ、その仕組みについて自ら理解を深めたい。高齢者ら、そうした情報に接する手段を持たない人々には、親族や周囲が理解の手助けをしてほしい。

 また、自治体が作成するハザード(被害予測)マップで、公民館など避難所をはじめ、自宅や職場、子どもが通う学校などの位置を確認しておきたい。

 特に要警戒なのは河川に近い場所だ。九州には筑後川など1級河川だけで20水系ある。支流は約1500に上り、多くの住民が流域で暮らす。一昨年7月の九州豪雨では筑後川や、北九州市の中心部を流れる紫川で氾濫の恐れがあった。自治体はハザードマップの精度を上げ、なお一層の広報に努めるべきだ。

 九州・山口では「非常に激しい雨」(1時間50ミリ以上80ミリ未満)の降る回数が1980年代の約1・4倍に増えた。しかも局地的に集中したり、好天から一転して大雨になったりする例が多い。最も大事なことは「自分の命は自分で守る」という基本姿勢だ。豪雨の記憶と教訓を確実な備えへとつなげたい。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ