米中摩擦で韓国板挟み 対中輸出大きな痛手も

西日本新聞 国際面

 【ソウル池田郷】米国と中国の貿易摩擦が激化する中、韓国が板挟みになっている。米国は安全保障上の懸念から韓国を含む各国に中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の製品を採用しないよう求めている。ただ韓国にとって中国は最大の貿易相手国。2016年には米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備容認に猛反発した中国から経済的な対抗措置を受け、その痛手はなお残る。今月末に大阪である20カ国・地域首脳会議(G20サミット)をにらみ、文在寅(ムンジェイン)政権は難しい駆け引きを強いられている。

 「信頼できない供給者を選べば、長期的なリスクと費用負担が非常に大きくなるだろう」。米国のハリス駐韓大使は5日、韓国のIT業界がソウルで開いたイベントで、ファーウェイを念頭にこう警告した。

 米国にとって第5世代(5G)移動通信システムの覇権争いは「同盟国の通信を保護する核心要素」(ハリス氏)。米国は昨年、自国や同盟国の機密が盗まれることを警戒して政府機関がファーウェイ製品を使うことを禁じ、各国に同調を要求。日本などが応じた。だが文政権は「各企業が個別に判断すべき問題」と態度を明確にしておらず、ハリス氏の発言は韓国側に圧力をかけた格好だ。

 一方で韓国が米国の要求をのめば、中国の反発は必至だ。韓国が16年、中国が警戒するTHAADの国内配備を容認すると、中国は韓国への旅行禁止などの措置を取り、韓国経済に打撃を与えた。ハリス氏の発言は「中国が(ファーウェイ製品への対応を念頭に)韓国にTHAAD配備の際の報復を再びちらつかせ、米国が反発したため」(韓国紙)との見方もある。

 韓国の18年の対中輸出額は1621億ドル(約17兆6千億円)で、輸出全体の約4分の1を占める。うちファーウェイが韓国企業から購入した物品総額は106億ドル。対中輸出が落ち込めば、失速気味の韓国経済の新たな懸念材料になる。

 文氏は大阪でのG20サミットに合わせて米国や中国との首脳外交に臨む見通しだ。北朝鮮の非核化を前進させるためにも、米中両首脳の協力は不可欠。米中の利害が相反する困難な局面をどう切り抜けるか、手腕が問われる。

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