〈ローマのアッピア街道を四年前にひた走ったエチオピアの英雄アベベは、ふたたび東京の甲州街道を黒い疾風のように走り抜いた〉…

西日本新聞 オピニオン面

 〈ローマのアッピア街道を四年前にひた走ったエチオピアの英雄アベベは、ふたたび東京の甲州街道を黒い疾風のように走り抜いた〉。1964年10月22日の本紙は、東京五輪のマラソンで連覇を果たしたアベベ選手をこう報じた

▼その走りを沿道で見た男性に話を聞いた。他の選手が皆あえぐ中、すらっとしたアベベ選手だけが優雅な走りで、まるで褐色の貴公子。「世界は広い」と感心したそうだ

▼アベベ選手を生んだエチオピアには「スリ族」というおしゃれな少数民族がいる。顔や全身に白や黄色の模様を描き、みずみずしい草花でスマートな肢体を着飾る

▼その美しさを日本に紹介したのが写真家のヨシダナギさん。幼少期からアフリカ人に憧れ、2009年に単身渡航。時には自分も同じ裸になって輪に溶け込み、世界各地の民族と寝食を共にして撮影を続けている

▼彼女の九州初の写真展を福岡市・天神の博多大丸で拝見した。スリ族を皮切りに、ファッションモデルのようなボロロ族、奇妙なお面をかぶるアサロ族など、初めて知る民族が大半だ。大自然の中でポーズを決めた写真は色彩豊か。アナウンサーの古舘伊知郎さんなら「多様性のテーマパーク」とでも実況するところだろうか

▼写真展は全作品が撮影OK。パシャッとやればインスタ映えも請け合いだ。多様な民族で構成されるからこその世界の広さと美しさがそこにある。10日まで。

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