地域コミュニティーの力で 八尋和郎氏

西日本新聞 オピニオン面

八尋和郎氏THINKZERO代表取締役 拡大

八尋和郎氏THINKZERO代表取締役

◆子育てと防災

 昨年、シンクタンクを福岡県太宰府市に立ち上げた。地域の課題解決や政策実現に向けたサポートを始めた。

 長崎県佐々町では、町の「子ども子育てプラン」策定のため、アンケートやヒアリングを続けている。町に調査で入って感じることは、福祉に対する住民意識の高さだ。平成の大合併で隣接する自治体が同県佐世保市に編入される中、佐々町は町制を維持し、独自のサービスが浸透している。例えば高齢者の体力づくりや閉じこもり防止を目的とした集会を各地域で開いており、昨年は厚生労働省の「健康寿命をのばそう!アワード」で厚労大臣最優秀賞を受けた。

 子育て環境も整っている。共働き世帯は少なくないものの、同居家族や地域の理解が昔から根付いている印象で、安心して子育てができているようだ。「適度な田舎」のいい面が出ており、希望して移住してくる若い人も多いと聞いている。長崎県の合計特殊出生率は国内でも高いが、佐々町のそれは県平均を上回っている。

 そんな佐々町だからこそ、「子育てプラン」は全国のモデルになる可能性を秘めていると考える。行政、地域、家庭がこれまで培ってきた福祉への考え方を継続・発展させるとともに、恵まれた町の自然と子育てを結びつけるアイデアを考案できれば、全国から注目される内容となるのではないか。佐々町の強みの一つである、積極的な地域コミュニティー活動をどう活用できるかも念頭に、可能性を探っていきたい。

 同町とは別の地域で水害の被害調査にも取り組んでいるが、地域コミュニティーの重要性は痛感させられる。昨年7月の西日本豪雨後に「近所の協力なくして防災はできない」との声もよく聞くようになった。大災害から生命を守るためにも、安心して子育てをするためにも、身近なコミュニティーの協力態勢づくりという視点は欠かせない。

 現在、九州産業大経済学部の非常勤講師を務めるとともに、土木分野の人材育成にも協力している。前職の九州経済調査会で培った調査、分析の経験を生かし、地域のためになる活動の幅を広げてゆくつもりだ。

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 八尋 和郎(やひろ・かずろう)THINKZERO代表取締役 1962年生まれ、福岡県太宰府市出身。九州大大学院工学研究院修了。九州経済調査会時代は地域経済の調査・研究活動を手掛け、会員制図書館「ビズコリ」の館長も務めた。

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