日本の教育がいま大変なことに! 池上彰と佐藤優が2020年問題を論じる

西日本新聞

 2020年を機に教育の大改革が行われようとしている。その代表として、これまで大学入試で実施されてきたセンター試験が通称「新テスト」に置き換わることが決定している。教育というのは、人をつくることであるので、学生や教育関係者だけの問題ではない。

 この最新トピックについて、池上彰と佐藤優が行った対談をもとにした本が出た。それぞれ人気のジャーナリスト、作家で、大学で教える教育者でもある。両氏とも、時の政治家や政策、ジャーナリズムなどに対して、批判すべきところは批判するという態度で一貫している。そのため、保守派を自称する人たちの一部には、何かと難癖をつける向きもあるようだ。しかし、教育となれば、国を思う人ほど真摯(しんし)に考えなくてはならない問題であろう。

 「『教育勅語』が発表されていた時代、いかに親殺し、子殺しが横行してことか。そんな事実を知らないまま、『教育勅語があったから道徳が行き届いていた』と主張する恐ろしさ」

 と冒頭で池上彰が釘を刺している。一方で、今回の改革に対して、文部科学省がやることだからと、「最初から斜に構えたり」「根拠なく警戒心を募らせたり」する論調に佐藤優が警告を発している。

 色眼鏡を掛けずに、改革の目指すところを探り、さらには試験的に実施されたプレテストを実際に解いてみた感想を述べている(問題の抜粋も、本書に収録されている)。世間では評判の悪かったプレテストを2人の著者が共に評価しているのが興味深い。反面、英語の試験に「話す、書く」を加えた弊害を指摘している。いずれも論拠は明快である。

 話は「新テスト」にとどまらず、改革全体、さらには教育界全体、国のあり方といったところにまで広がりをもつ。過去の「改革」の結果、どのような人間が生まれたか。例の「忖度(そんたく)」や「セクハラ発言」の根底に教育面での失政や国政の無為無策があることがわかる。そこだけ読むと暗い気持ちになるが、希望となる成功例も紹介されている。教育改革は実施して終わりではない。今後も議論が続けられることを願ってやまない。
 

出版社:中央公論新社
書名:教育激変
著者名:池上彰/佐藤優
定価(税込):907円
税別価格:840円
リンク先:http://www.chuko.co.jp/laclef/2019/04/150653.html

西日本新聞 読書案内編集部

PR

PR

注目のテーマ