フィルムカメラ修理、思い出もよみがえれ 基山で講座

西日本新聞 佐賀版

 カメラも思い出もよみがえらせよう‐。壊れたフィルムカメラを修理する講座が基山町の基山モール商店街で開かれている。講師は、カメラの修理を趣味で約20年続けてきた町集落支援員の大石哲次さん(63)。商店街のにぎわいを取り戻そうと今春に開講した。町内外から参加者が集い、大切なカメラにまつわる思い出話に花を咲かせている。

 基山町宮浦の村山峰子さん(65)は5月下旬、商店街の交流施設「まちなか公民館」での講座に参加した。その手には、9年前に亡くなった夫・啓治さんが愛用していたカメラ。「子どもの運動会や少年野球の試合に持って行った宝物」を自宅の段ボールから出し、「自分の手で直してあげたい」と受講した。

 誰かに修理してもらうのでなく、自らが直す。そこに講師の大石さんのこだわりがある。

 町出身の大石さんは中学生のころからカメラ撮影が趣味だった。関西の大学を卒業後、大手精密機器メーカーでレジの修理などを担当。42歳のとき友人からフィルムカメラの修理を頼まれた。カメラ仲間の助言を得て直し、シャッター音が聞こえた瞬間、喜びがこみ上げた。

 趣味は撮影でなく、修理に。インターネットの情報やカメラ仲間から修理法を学び、古物市で購入した中古カメラを直した。これまでに約6900台を修理し、お気に入りの約300台を自宅に残す。そのほかは友人に譲ったり、オークションなどで売ったりした。

 大石さんは「シャッターを押す際の指先に伝わる振動や現像のわくわく感はフィルムカメラならではの魅力」と語る。

 60歳で定年退職し、高校卒業以来、町に戻った。昨年6月から「生まれ育った町に恩返しをしたい」と町集落支援員に就き、町の特産品をPR。町の中心にある商店街を盛り上げようと、4月から毎週1回、約2時間の講座を始めた。

 講座では、大石さんは「日本のカメラは宇宙でも使われた」などとカメラの豆知識を会話に織り交ぜ、参加者を和ませる。自らの修理にこだわるのは「思い出話や世間話を楽しんでもらうため」だ。

 亡き夫のカメラを持ってきた村山さんは長女とともに受講。「お父さんは仕事が忙しかったけど子どものためなら休むような人で」と男性参加者に語り掛ける。電池の接続部分にさびを見つけ、やすりで丁寧に磨き、電源を入れた。「お父さんのカメラが動いた!」と喜ぶと、「よかった、よかった」と男性たちの拍手に包まれた。

   ◆    ◆

 講座は毎週火曜日午後1時~3時。参加無料。1日の定員は5人程度。初めて参加する人は事前に申し込みが必要。まちなか公民館=0942(85)8281。 

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