星野村、住民主体で将来探る 合併から9年、加速する過疎化 

西日本新聞 筑後版

 八女市星野村で住民主体の村づくりプロジェクト「星野未来塾」が昨年秋から進んでいる。2010年2月、八女郡3町村とともに八女市に編入合併した同村では、この9年で人口が4分の3の約2500人に減るなど過疎化が進む。10年、20年後に村をどう残していくか‐。村民らの取り組みをみた。 

 3月中旬、市星野支所で開かれた未来塾の会合は熱気を帯びた。出席した住民や村の支援者ら27人が3班に分かれ、活気が薄れる村の課題と解決策について議論を交わした。

 「休耕田バンクを作り、格安で使ってもらえば、荒れた田畑の景観保全につながる」「パソコン1台でできる仕事を誘致するのはどうか。そのためにはインターネット環境を整備しないと」「豊かな自然をPRして、子育て世代を呼び込みたい」‐。

 学生から農家、商店主、女性グループメンバー、NPO関係者と顔ぶれはさまざま。世代も幅広く10~70代が観光や子育て、農業など多岐にわたってアイデアを出し合った。今後、何が実現可能かを精査しながら組織づくりを固め、年内には具体的な事業の実行に向けて動きだす計画だ。

 「行政に頼るのではなく、住民が中心となって活性化をしないと置いていかれる時代。手遅れになる前に何とかする必要がある」。未来塾代表の山口聖一さん(69)は立ち上げの経緯を語る。

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 05~06年にピークを迎えた「平成の大合併」。全国の自治体数は半数以下となり、特に村の数は95年の577から7割近く減った。多くの旧村部で効率化の名の下に役場機能は低下。住民から不満の声が上がり、人口減少も加速する結果となった。

 遅れて合併した星野村も同様の道をたどった。合併前の村職員は66人、村議は10人いたが、今では支所職員22人、村在住の市議は1人だけ。2012年の九州北部豪雨で甚大な被害を受けたことも相まって人口減少は進んだ。人口問題研究所の推計を元にした未来塾の試算では、村の人口は2030年に1800人、40年に1300人に減少する見込みだ。「将来、見捨てられるのでは」と不安を抱く住民も少なくない。

 「村を挙げて意見を出し合う場をつくろう」。昨年11月、同プロジェクトは始まった。豪雨からの復旧がほぼ完了し、住民が村の将来について前向きに考えられるようになったのも、きっかけの一つだった。

 月1回の定例会合で行動指針などの策定を進めるほか、5月末には大分県日田市中津江村の自治組織「中津江むらづくり役場」を視察した。行政では手の回らない高齢者見守りなどの業務を担う自治組織の取り組みは、良い先行事例。体制づくりや運営方法などでアドバイスを受けた。

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 山口さんは「正直、星野村はまだ恵まれているほう」と感じるという。天文施設「星の文化館」や温泉などの誘客施設があり、玉露という全国に誇る名産品もある。だからこそ「村おこしの資源が残っているうちに、活用策を打ち出さないといけない。まだ間に合う」と語る。

 未来塾では、行政に補助金は求めず、当面の運営費は昨年夏に村で開催した絵画展の収益を充てるという。「補助金を当てにした取り組みの失敗例は数多い。まずは自分たちの努力が大事だ。目指すは住民による村の経営共同体。村を挙げた取り組みに広げていきたい」。過疎問題解決に向けた模索は始まったばかりだ。

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