昼間の地震 わが子の命 守るには 「備災ママスターズ福岡」が講座 身守るすべ、避難生活 事前の備え具体的に

西日本新聞 くらし面

自分の備蓄物資を、講座の参加者に教える黒屋あやさん(右) 拡大

自分の備蓄物資を、講座の参加者に教える黒屋あやさん(右)

福岡市が作成した防災ミニブック

 災害が日中に起こったとき、夫は職場にいて小さなわが子を守るのは自分一人-。そんな状況を想定して地震や津波などの災害に備えてもらおうと、福岡市を中心に活動する「備災ママスターズ福岡」が、乳幼児がいる母親向けに講座を開いている。身を守るすべ、避難、備蓄。「まさか」の事態に備え、小さな子がいる家族が知っておくべきことは、たくさんあるようだ。

 グループは、インターネット上で被災者支援に当たる団体「Smart Supply Vision」(東京)の特別講師・かもんまゆさんの講座「防災ママカフェ」を聞いた9人。この内容を多くの人に伝えたいと、グループ代表の黒屋あやさん(37)=福岡市=が中心になってかもんさんの指導を受け、講座をダイジェスト版にして紹介する。開催は2017年の発足後、22回に上る。

 同市南区の西高宮公民館で3日に開いた講座。乳幼児を連れた母親たちを前にメンバーの鶴崎佳世さん(40)がマイクを握った。地震の犠牲者は、住宅や家具に押しつぶされた例が9割に上ること。11年の東日本大震災は午後2時46分に起きたこと-を挙げた。

 「家にいるのが皆さんと子どもだけかもしれない。だからこそ家族で事前に家具を固定し、落ちてくる物をなくしましょう。下敷きになると避難できません」

 震度7の地震では揺れに翻弄(ほんろう)され、自分の意思では行動できないことも告げる。「たぶん、その瞬間は何も考えられず、何もできません。どこならつぶされないか事前に考え、そこに行く。頭を守ることです」

 けがと停電のリスクも高まるとして、止血パッドや情報収集用のラジオを備え、避難ではブロック塀に近づかないことも助言した。

    ◇   ◇

 開始から約40分。「えーん、ママー」。子どもたちがぐずり始める。黒屋さんは「今、『静かに。座って』って大変ですよね。これが避難所だったらどうですか? 備蓄の食料はあっても、子どもはまずいと感じたら食べない。おなかがすいて泣くと『うるさい、出て行け』となる。親子で避難所にいられなくなる」と具体的にイメージできるよう、例を挙げて説明した。

 食は子どもが食べ慣れたものを準備し、備蓄用の食品は嫌がらないか事前に試食させる。アレルギー対応食品は必ず用意しておく。「避難生活は子どもにずっと我慢を強いる。食事くらいは笑顔になる準備をして」とアドバイスする。

 備蓄物資を詰めた防災リュックの話も出た。「大人が自分だけのとき、子どもを抱き、手を引き、リュックを持って逃げられますか? リュックは重さ5キロが限界。物資を厳選して」

 避難時の家族の集合場所を数カ所、具体的に決めておく。地震の仕組みを絵本などで子どもに教え、揺れても動揺しないようにする。助言は多岐にわたる。

 黒屋さんは語る。「まずどんな危険があるかを知り、命を守ること。ミルクや離乳食、おむつなど、子どもに必要なものは特に不足するし、物資の配布に行列ができることもある。子どもの命を守り、負担を減らすためにも備えませんか」

 ●女性の視線の「防災ブック」 漫画でノウハウ 福岡市が作成

 地震や津波のほか、梅雨時は豪雨で避難を余儀なくされることもある。福岡市は「女性の視点を活(い)かした 防災ミニブック」を作り、被災者が「あってよかった」と感じた防災グッズや、避難所設置の在り方などを紹介している。市役所1階の情報プラザなどで無料配布している。

 東日本大震災で被災した宮城県在住のイラストレーター、アベナオミさん(34)がイラストや監修を担当。ライフラインが寸断され、食料も不足する中、1歳7カ月の子どもと共に奔走した経験を漫画で描く。

 女性の被災者の声を基にまとめた「防災グッズ12選」も掲載。水がいらないシャンプーや体を冷やさないためのカイロ、ミルク用のポット、生理用品などを挙げている。「お助けアイデア」では、レジ袋とタオルで作るおむつ、ストッキングを活用した止血バンド、ごみ袋を切った雨がっぱなどを紹介している。

 避難所では女性更衣室や授乳室、育児室を設けること、見回りや物資の配布担当者はこれまでのように男性ばかりにならないよう求めている。

 市男女共同参画課の山口逸子課長は「子育て中の女性は災害時、自分のことは後回しにしがち。例えば香りのいいハンドクリームなど、リラックスできる備蓄があるといいのではないか」。非常時はさまざまな立場の人への配慮が行き届きにくくなる。多様な視点を取り入れるため、避難所のリーダーも性別にかかわらず置くことが必要だと指摘している。

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