3女性新人議員、初の一般質問 身近な課題解決へ一歩

西日本新聞 熊本版

小国町議になった西田直美さんは、パネルを示しながら初の一般質問に立った 拡大

小国町議になった西田直美さんは、パネルを示しながら初の一般質問に立った

南小国町議になった森永一美さん。定住、交流・関係人口拡大に向け、知人と話す 産山村議になった井芳美さん。議会開会前は農作業に追われていた

 4月の統一地方選では、阿蘇地域で女性の新人町村議が相次いで誕生した。産山村(定数8)と南小国町(同10)では初めて。小国町(同10)でも1人が当選した。3人とも県外で暮らした経験があり、地域の課題や疑問に直面したことがきっかけで、行政や議会に一石を投じようと議席を得た。デビュー戦となる6月議会。初の一般質問で何を問うのか‐。

 

■小国町議・西田さん 準備1ヵ月 英語教育問う

 「広報誌配布が月半ばなのはなぜ?」「誰を対象にした町のHP(ホームページ)なのか?」「中学校になぜALT(外国語指導助手)が配置されない?」

 12日の小国町議会一般質問。登壇した西田直美さん(65)は、そんな疑問点を記した小さなパネルを掲げ、執行部に問い掛けた。

 質問は1カ月前から考え始めた。「小さなことからコツコツと。本当に町民のためになっているか、お金をかけなくても改善できることがあるんじゃないか」。選挙戦でも着たベージュ色のブレザーに身を包み、質問を続けた。

 質問を終えた昼休み、一緒に弁当を食べる先輩議員から「他の人が気付かないことを言ってくれたね」と声を掛けられたという。

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 外国人観光客にも応対できるジオパークガイドとして活動し、町内の中学や高校で英語講師も務めていた。立候補を決めたのは昨年11月。英語・英会話授業の在り方に疑問を抱いたのがきっかけだった。

 グローバル化が進み、人工知能(AI)が普及する新時代に向け、英語教育も転換期にある。2020年度から小学5、6年生で教科化。同年度から始まる新大学入試でも会話力が問われ、旧来型の授業では太刀打ちできなくなっている。

 授業改革に向け、小中高一貫型のカリキュラム導入や、新たな教育プログラムの導入を校長らに提案したが、動く気配はない。「私が議員になれば変わるかも」と立候補に踏み切った。

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 選挙戦は、地盤も看板もカバンもない無手勝流。選挙カーはピンクの自家用車。親族や教え子が交代で運転し、ポスターはガイド仲間に張ってもらった。

 半世紀近く前に町を離れ、大学卒業直後に結婚。子ども2人に恵まれたが、10年前に夫が死去。7年前にUターンしたのは、11年の東日本大震災が大きかった。当時は福岡県内で暮らし「私が帰るべき所はどこ?」と考えたという。

 選挙カーを走らせ、人を見かけては駆け寄り、旧姓時代からの生い立ちを語った。必ず聞かれたのは「あなた、議員になって何がしたいの?」。長話になり、効率は悪かったが「逆に良かったかも」と振り返る。

 運命の投開票日。投票を済ませて昼すぎに買い物に出掛け、オムレツなどを作った。夜、自宅の選挙事務所に集まってくれた支援者ら約20人を手料理でねぎらった。午後9時ごろ、開票所の義兄から電話が入った。

 「297票」「じゃあ駄目だね」「ちょっと待って。通ってるよ」「えー」

 トップ当選者の大量得票で当選ラインが下がり、滑り込んだ。

 9月議会では、元気な高齢者の活動の場づくりや、観光戦略について質問しようと考えている。「まだまだ聞きたいことがいっぱいありますからね」

 

■南小国町議・森永さん 移住者の目線生かす 

■産山村議・井さん 村営温泉再建に関心

 南小国町議になった森永一美さん(35)も12日、一般質問に立ち、「地域情報発信方法の見直し」「移住者や住民向けの住環境整備」を求めた。

 阿蘇市出身だが、中学・高校は熊本市、大学は長崎県、会社員時代は大阪府などで過ごし、結婚して5年前から町内で暮らすようになった。娘2人の育児に追われる中、同世代の知人も少なく「孤独」を感じた。「移住者としての経験も生かし、町内外の人がつながる仕組みを作れないだろうか」と立候補した。

 一方、産山村議になった井芳美さん(67)は、自宅近くにある村営温泉施設の再建問題が発端だった。

 1990年に開業し、民間から第三セクター、村営へと運営主体が変わり、2年前に赤字を理由に休業。村の再建案は議会で相次ぎ否決され、再建のめどは立たない。「女性利用者の側にも立ち、もっと魅力的な施設に」と立候補。150票でトップ当選した。

 井さんは富山県出身。茨城県の農業大学校で学び、夫と知り合い、産山村で農業、畜産を営む。18日の一般質問では、まず「村長はどう考えているのか」「旧施設のリフォーム、機能充実は本当に困難なのか」を聞くつもりだ。

 女性新人議員3人に共通するのは「ちょっとよそ者」で、立候補の動機は「身近なシングルイシュー(一つのテーマ)」。旧来型の組織選挙ではなく、有志による手づくり選挙だった点も同じだ。有権者の期待を背に、それぞれの挑戦が始まっている。

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