引きこもり18年、去った老親…残したメモには「家族も限界」 (3ページ目)

殴り書き「家族も限界」 男性、49歳で自立促され

 大分県北部で暮らす男性(54)は18年間、定職に就かず、実家にこもる生活を続けていた。行方不明となった70代の両親が書き残したメモ紙には、その心情がつづられていた。

 《40歳、50歳代の人は親も亡くなり、1人になってしまいます。兄弟も自分の生活でいっぱいですし、家族全員の心は、いつもひっかかっています》

 《当人も家族も限界に来ている人が多い。だから本人も自暴自棄になり、事件を起こしたりする人も多いのではないでしょうか》

 老いや病気に直面し、息子を養う将来への不安。そんな事態を受け止めてくれない政治行政への不満-。相談窓口に寄せる文書の下書きだろうか、チラシ3枚の裏面にびっしり殴り書きしていた。複数の関係者によると、両親は行方不明になる前、市役所に相談に行っていた形跡がある。

 男性は自らを残して去った両親に対し、恨めしさとともに「もう迷惑をかけなくてもいい」と、ほっとした気持ちもあった。メモの内容を踏まえ、今では「両親は自分を突き放し、自立させようとした」と考えるようにもなったという。

 両親の行き先は知らないままだが、自宅には数カ月に1度、差出人不明の封筒が届く。中には数千円の現金と便箋が入っている。

 《1人になって1年になりますね。だいぶん細くなっているでしょうね。1年間、1人で暮らせたら大丈夫ですね》

 手紙は既に10通以上。しっかりした筆跡から、男性は「きっと、どこかで元気で暮らしている」と推し量る。覚悟して家を出た両親を捜す気はない。いつか戻ってくれば、今度は自分が両親を支えるつもりだ。 

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