引きこもり18年、去った老親…残したメモには「家族も限界」 (4ページ目)

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 親と本人を一定程度、物理的に引き離す-。こうした手法は、一部の支援団体が試みている。NPO法人・ニュースタート(千葉県)の場合、1人暮らしや寮生活を体験させることを自立への第一歩としているという。

 「親子が同居したままだと、親は子を手放さず、子は親の目を気にして主体的に動けなくなる。共依存の関係が引きこもりの長期化を招く」と、支援に当たるスタッフは話す。

 もちろん、大分の男性のように、親が離れることによって必ず良い方向に向かうとは限らない。引きこもりとなるきっかけは不登校や受験での失敗、就職難、人間関係のトラブル、病気などさまざま。一人きりで支援を求めることができず、困窮したり、自暴自棄になったりすることもある。

 専門家や支援者の指摘に共通するのは、頭ごなしに怒ることの危険性だ。

 精神科医の斎藤環・筑波大教授によると、元農林水産事務次官が息子を殺害した疑いが持たれている事件などを受け、心配した家族が引きこもりの子を怒ってしまうと、子も不安になり、反発するという。斎藤教授は「インターネット上では、元次官について『よくやった』といった心ない言葉が飛び交う。それを引きこもりの人が見れば、非常に痛い言葉だと感じる。感情が暴発すれば、親子間の新たな事件につながりかねない」と警鐘を鳴らす。

 引きこもり当事者の家族でつくる「福岡楠の会」事務局の吉村文恵さん(79)は、「働け」と強く迫ると家庭内暴力につながると懸念する。「本人も働かないといけないのは分かっているが、力がなく、動きだせない状態に陥っている。第三者が介入すれば、本人の攻撃性も緩む。まずは相談機関を訪ねてほしい」

 それぞれのケースに応じ、手探りで支援を考えるしかない。大分の男性は言う。「かつて周囲の人々は腫れものに触るように私と接していた。偏見の目で見るのではなく、しっかり話を聞いてほしい、きちんと耳を傾けてほしい。そう思っている人は少なくないのではないか」

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