あの山がそんなに高いはずは-…

西日本新聞 オピニオン面

 あの山がそんなに高いはずは-。スクープのきっかけは記者の素朴な疑問だった。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備を巡り、防衛省の適地調査に重大な誤りがあった。地元の秋田魁新報の取材で発覚した

▼防衛省は、秋田市の新屋演習場が唯一の適地としていた。他の候補地はミサイルを探知・追尾するレーダーを遮る山が周囲にあるなどの理由で不適とした

▼納得いかない記者が分度器と地図で測ってみると、山を見上げた角度がおかしい。実は9カ所で過大に報告されていたのだ

▼地元紙ならではの「土地勘」と、不安を募らせる住民の側に立って粘り強く取材した成果だ。地方に拠点を置くメディアとしてお手本としたい

▼防衛省は、ネット上の地図で計算した際に、縮尺の違いを見落とした単純ミスと説明、陳謝した。重要な選定基準なのに実測をしなかったとは。そもそも、ミサイル迎撃は飛んでくる銃弾を拳銃で撃ち落とす、と例えられる精緻なシステムだ。こんなずさんな組織で大丈夫かと心配になる

▼最初から「新屋」ありきで、他はおざなりの調査だったのでは、との疑念も浮かぶ。官庁が政権に都合よくデータや文書を操る例はさんざん見せられてきたから。ミスが判明して住民の信用を失っても、「新屋が適地」は変えないという。地元の声に耳を貸さず強引に進めるやり方は、沖縄の基地問題と二重写しのようにも。

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