【きょうのテーマ】ライオンキング 人気の秘密探る パペットやマスク70種類 「夢を与える仕事」 隅々まで工夫 俳優と発声訓練を体験

西日本新聞 こども面

俳優たちに指導を受けながら開口と発声の訓練を体験した 拡大

俳優たちに指導を受けながら開口と発声の訓練を体験した

スカーのマスク(左)や鳥のパペットは小道具担当スタッフの池田春香さん(右)たちが公演の前後に欠かさず手入れしている 動物の王国を見渡せる岩山「プライドロック」などの舞台装置も取材した。床の模様は職人が手描きした 福岡公演でミーアキャットのティモン役を演じている俳優の山本道さん

 劇団四季のミュージカル「ライオンキング」が約10年ぶりに福岡市で上演中です。アフリカの動物たちの王国を舞台にしたライオンの王の息子、シンバの成長物語。1998年に初めて日本で上演されて以来、何度も劇場に通う人がいるほど人気の作品の舞台裏をこども記者が取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=ライオンキング 人気の秘密探る

 開演して間もなく、王国の呪術師のヒヒ・ラフィキによる歌が劇場に響き渡る。伴奏がないアカペラなのにものすごい迫力だ。こうした俳優の声を支える発声と開口の訓練を、ラフィキ役の俳優の一人、福井麻起子さんら3人の指導で体験した。

 まずは床に寝て腹式呼吸に挑戦した。「お花の香りを吸ってー、吐いてー」という福井さんの声を聞きながら、おなかが上下して膨らんでいることを確かめた。次に立ち上がっておなかを意識し、「あいうえお いうえおあ…」と一息で言う発声に挑戦。1分足らずで腹筋がぴくぴくしたけど、俳優たちは毎回本番前に30分も行うという。

 「『あ』はリンゴをかじるように、『え』は笑顔で…」と言われながら、口をしっかりと開けて動かす開口も体験した。福井さんが「声が前に飛んで言葉がはっきりと聞こえるようになる」と教えてくれた。のどを痛めないように、マスクをして寝たり、はちみつをなめたりと俳優それぞれが工夫しているそうだ。

    ★  ★

 本物の動物のように動くパペット(人形)やマスクも舞台の見どころの一つだ。ライオンやゾウ、鳥など約70種類。小道具担当の池田春香さんは「俳優の表情や動きと連動するようにできている」と説明した。シンバの叔父スカーが相手を威嚇するような動きをすると、マスクは俳優の頭上から前面に押し出される。池田さんは「俳優が自分の手に握ったスイッチで動かしているんですよ」とマスクを動かしてみせた。

 俳優はマスクを着けたまま歌い、踊りや演技も披露する。マスクを頭に固定する装置は、俳優それぞれの頭の形にぴったり合うように作っているそうだ。池田さんは「パペットの持ち手も俳優の手の形に合わせている。それぞれのこだわりのある動きが表現できるよう、俳優と相談を重ねます」と言っていた。

 丁寧に作られた小道具を俳優たちが使いこなすことで、動物の特徴ある動きを表現できるのだと思った。

    ★  ★

 高さ約4メートルの岩山「プライドロック」は動物の王国のシンボルだ。「お客さんにいつでも良い舞台を見てもらうため、毎回の公演終了後に汚れや傷を確認して修理しています」と舞台監督の田辺勇年さん。

 アフリカの大地を思わせる床の模様は職人が手描きし、大地の奥行きを演出するために舞台の奥は斜めに上がる工夫がされている。隅々まで工夫を凝らした舞台は開演前2カ月をかけて仕込むという。「僕たちの仕事はお客さんに夢を与えることができるとても楽しい仕事」と目を輝かせる田辺さん。ライオンキングの舞台が多くの人を感動させる理由が分かった気がした。

●「博多弁で観客と一体感」 ティモン役の山本道さん 

「ライオンキング」福岡公演では、相棒のイボイノシシ・プンバァと軽妙な博多弁のセリフで観客の笑いを誘うミーアキャットのティモン。ティモン役の一人で福岡市出身の山本道さんにインタビューした。

 山本さんは小学5年の時に子役としてヤングシンバ役でライオンキングに出演。その後、劇団四季に入団した。

 今回の公演で初めてティモン役を演じ、「博多弁のセリフでお客さんが喜んでくれるのがうれしい。上京して約10年たつけど、(福岡公演では)お客さんと一体感が生まれて地元に帰ってきたと感じる」と話す。「そやけん、今覚えりゃよかろぅもん」「よか言葉やね~」など、博多弁が「ティモンのキャラクターにも合っている」と思うそうだ。

 長いセリフはどうやって覚えるのか聞いてみると、山本さんは「僕の場合、セリフを言い終えるまでお風呂の湯船から出ないと決めている」と教えてくれた。

 重さが10キロ近くあるティモンのパペットを上手に扱いながら演技し、歌えるようになるために約3カ月練習したという。特に苦労したことは「ティモンが人形に見えないように、命を吹き込むこと」。山本さんは「それぞれの俳優がこだわって動物の動きを表現している。舞台で見て感じてほしい」と言っていた。

●わキャッタ!メモ

 「ライオンキング」福岡公演 福岡市博多区のキャナルシティ劇場。西日本新聞社など主催。すでに11月30日までのロングラン上演が決定している。S席1万800円、A席8640円など。3歳~小学6年生はファミリーゾーンS席5400円、A席4320円。劇団四季予約センター=(0120)489444。

PR

最新記事

PR

注目のテーマ