「子どもシェルター」設立へ 佐賀の弁護士有志 10代後半の自立支援

西日本新聞 佐賀版

 親からの虐待などで家を出て、居場所を失った10代後半の子どもたちを受け入れる「子どもシェルター」設立の動きが県内で進んでいる。児童養護施設は原則として18歳で退所を余儀なくされるため、シェルターで自立を支援することで制度の穴をふさぐのが狙い。弁護士の有志が来年度の立ち上げを目指す。

 「罪を犯す前にシェルターにたどり着いていたら」。設立準備を進める下津浦公弁護士は、自らが弁護人となった19歳の少年のことが今も記憶に残る。

 少年は軽度の知的障害があり、家族と折り合いが悪く、福祉施設に入所。だが、集団生活になじめず、約1カ月で施設を飛び出した。2日ほど野宿し、空腹に耐えかね、コンビニエンスストアでゼリー飲料1、2個を盗み、県警に逮捕された。

 下津浦弁護士は少年と接して「生きにくさを抱えながらも、何とかしたいと思う気持ちが伝わってきた」。少年は社会内での更生を望んだが、どこにも戻る場所がないまま、医療少年院に送致された。

 住み込みで働ける事業所などの受け入れ先が県内には少なく、やむを得ず少年院送致になる少年がいるのが現状という。

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 「シェルターがあれば全て解決とはいかないが、立ち直りにつながる可能性がある」。県弁護士会の有志8人が2016年ごろから視察や勉強会を重ね、昨年12月に準備会を立ち上げて活動を本格化させた。

 シェルターは、児童福祉法の保護対象外となる18歳を迎え、児童養護施設を退所した未成年者が居場所を失う現状を受け、全国各地で設立が始まった。5月の時点で、大分や宮崎など15都道府県の16カ所に立ち上がっていた。

 NPO法人が一戸建ての民家などで運営。10代後半の子どもたちが一時避難して個室で暮らし、常駐の職員が自立支援を行う。非行少年の処分を決めるために生活態度を観察する「試験観察」となった人の受け入れ先にもなる。

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 だが、シェルターを設立しても休止に追い込まれるケースもある。資金や人材の確保が安定的な運営には欠かせない。

 大分市で子どもシェルターを運営するNPO法人「おおいた子ども支援ネット」の矢野茂生専務理事は「シェルターで保護した子どもたちの将来にどう『伴走』するかが重要だ」と指摘。持続的に子どもを支える覚悟と態勢づくりが必要と強調する。

 準備会は今後、福祉施設などから、どれだけシェルターの需要があるかを聞き取り、適正な運営規模などを調査する。今秋、運営するNPO法人を立ち上げ、職員の募集などを行う予定。資金面などで協力してくれる賛同者も探す。

 下津浦弁護士は「地域と協働して子どもの福祉にかなうシェルターを作り、1人でも多くの子どもの手助けをしたい」と話している。

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