免許返納増、支援策手探り 筑後地区 タクシー券交付や補助

西日本新聞 筑後版

自治体による免許返納者への支援 拡大

自治体による免許返納者への支援

逆走して歩道に突っ込んだ福岡市早良区の事故現場。死亡した運転手は81歳だった=4日夜

 高齢者が運転する車による悲惨な事故が相次ぐ中、運転免許を自主返納する人が増えているが、公共交通機関が乏しい地域が多い筑後地区では、各自治体が返納者への支援策を模索している。タクシー券交付などを行う自治体の中には拡充を図る例もある一方で、政策を転換して取りやめる自治体もあり、結果的に支援の格差が広がる事態になっている。

 東京・池袋で4月、87歳が運転する車が暴走し母子2人が死亡。福岡市早良区では81歳の車が逆走して交差点に突っ込んだ。こうした事件を受け、各地で免許返納者は増えている。八女署の例をみると、2017年の96人から18年は307人、今年は5月までで既に184人に上っている。

 返納者の移動支援策として、八女市は昨年5月から70歳以上を対象に、タクシー回数券6万円分を支給している。申請数は、1年前までさかのぼって支給対象となった昨年度の426件に対して、本年度は5月までの2カ月で77人。前年度を上回るペースだ。2年ほど前に自主返納したという八女市の松延孝郎さん(78)は「タクシー券はちょっとした買い物の時などに使って便利」と話す。

 2017年度から5千円分の交通ICカードかタクシー券を交付している大牟田市は、当初2年間限定の予定を延長して本年度も継続することを決めた。市によると、返納者数が予想を上回り予算不足となったため、サービスを受けられなかった申請者を救済する目的もあるという。

 筑後地区ではほかに柳川市、みやま市、大木町、広川町が同様の事業を展開。みやま市では警察が発行し、身分証代わりとなる運転経歴証明書の発行手数料も助成する。

 一方で、事業を見直した自治体もある。タクシー券か交通ICカードを交付していた久留米市と小郡市は、17年度と18年度のそれぞれ1年間だけで事業を終えた。久留米市は「より多くの人が安心して移動できる手段確保に予算を集中させるべきだと考えた」とし、70歳以上には返納の有無や乗車距離に関係なく、1回300円を補助するコミュニティタクシー制度の拡充に充てるとした。

 小郡市は当初200人を見込んでいた申請者が1年間で278人に上ったことを受け「一定の効果があったと判断し終了した」と説明。今後は「免許返納後の公共交通のあり方こそが重要。コミュニティーバスの運行ルートや買い物支援の利用促進を検討していく」と話すが、具体的な施策はまだ見えない。

 一部のタクシー会社やバス会社は、運転経歴証明書を提示すれば運賃を割り引くサービスを始めるなど、民間も支援策を打ち出している。事故を減らすためには自治体も知恵を絞る必要がありそうだ。

 

■うきは市、事故防止装置に補助金

 うきは市は本年度から70歳以上を対象に、自動車事故防止機器の設置補助事業を始めた。同市は市域の約半分が山間部に広がり、公共交通機関も少ないため、自動車を日常の足として利用する住民も多い。返納をためらう高齢者による運転の安全性を高める取り組みだ。

 アクセルとブレーキのペダルを踏み間違えても急発進しない踏み間違い防止装置か、車線はみ出しなどを知らせる機能付きのドライブレコーダーの購入・設置費用について、半額(上限2万2千円)補助する。両方を取り付ける場合の補助額は最大3万7千円。本年度一般会計当初予算に助成費110万円を盛り込んだ。

 市が昨年秋に実施した市民アンケートによると、高齢者の免許返納については「生活面で不便になる」「仕事で必要」などの意見が多かったという。同市の高木典雄市長は「地域の高齢者にとって運転できるかどうかは死活問題。車を継続的に利用できつつ安全をどう確保するかを考えた」と説明する。

 同市市民協働推進課の調べでは、70歳以上で免許を持つ市民は約3900人で、このうち既に16人(11日現在)が補助を申請した。担当者は「相次ぐ事故を受けて、家族からの問い合わせも増えており、対象者はぜひ活用を考えてほしい」と話す。同課=0943(75)4982。

PR

アクセスランキング

PR

注目のテーマ