政庁一帯 ジオラマで再現 広島の森野さん制作 大宰府展示館に寄贈

西日本新聞 ふくおか都市圏版

 新元号「令和」ゆかりの地として今や、多くの観光客が訪れる太宰府市。人気スポットの一つが大宰府政庁跡東側の大宰府展示館だ。入館者のお目当ては、かつて大伴旅人が主催した「梅花の宴」を再現したジオラマ(立体模型)で、直行する人も多い。だが、その横に政庁一帯の建物や当時の人々を復元したジオラマもあることは、意外に知られていない。

 「もう一つのジオラマ」を制作したのは、広島県職員の森野晴洋さん(55)=広島市。西南学院大(福岡市)卒の森野さんはかねて、平城京(奈良)のようなジオラマの大宰府版がないのが残念だったという。たまたま、政庁の一部をミニチュアで作って妻の美佐子さん(47)に見せたところ「いいんじゃない。全部作ったら?」。

 以来、一念発起して制作に取りかかった。当時の建物や地形などがはっきり分からないため、大宰府展示館にいる田中健一学芸員(古都大宰府保存協会)に度々、助言を求めた。発掘報告書や建築の本も参考にして、1年半以上かけて完成させた。

 出来上がったジオラマは750分の1サイズと小さく、なかなか識別しづらいが、8世紀後半の政庁や周辺の役所、観世音寺、水城など大宰府を精密に復元している。よく見ると、例えば政庁中央の広場では紫の服を着た帥(そち)(長官)が、官人たちに訓示しているような場面が再現されている。

 蔵司(くらつかさ)など周辺のさまざまな場所でも、当時の官人や警護の兵士らの様子がその動作でうかがえる。建物はバルサという軽い木材を切って削り、アクリル絵の具で着色。人物はプラモデルの人形(人の大きさは350分の1サイズ)を加工して作り、着色したという。

 大宰府史跡発掘50周年だった昨年11月、森野さんは労作を同展示館に寄贈した。5カ月後、太宰府ゆかりの新元号が発表され、展示館の入館者が急増している。「学生時代に世話になった福岡への恩返しのつもりで作ったので、展示館が注目されるのはうれしい。政庁ジオラマも見て楽しんでほしい」と森野さん。現在第2弾として、政庁南にあった客館や朱雀(すざく)大路の復元ジオラマを制作中という。

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