香港デモ参加、憤る若者たち 「頑張らないと権利を失う」

西日本新聞 国際面

 【香港・川原田健雄】香港の「逃亡犯条例」改正案に反対するデモの参加者は、大学生などの若い世代が中心だ。民主選挙の実現を求めた2014年の大規模デモ「雨傘運動」が失敗して以降、香港の若者は政治離れが指摘されてきたが、条例改正にこだわる香港政府に「中国ばかり向いて市民を見てない」と反発が拡大。強硬手段でデモを封じ込めようとする当局の姿勢にも、若者たちの怒りが膨らんでいる。

 「まさか警察が市民に銃を向けるなんて」。13日、香港島中心部の政府本部庁舎前。中学5年(高校に相当)のリーさん(18)は前日のデモ隊と警察の衝突を振り返った。12日午後、立法会(議会)近くで警察と対峙(たいじ)していると、突然大量の催涙弾が投げ込まれた。それでも、周囲の十数人と一緒にマスクで口を押さえながら前へ足を進めると、突然、隣の参加者が血を吐いて倒れた。「ゴム弾か何かで腹部を撃たれていた。周囲の人が連れ出さなかったら死んでいたと思う」と硬い表情を浮かべた。

 「催涙弾の量は雨傘運動の時の10倍くらい。警察官も比べものにならないくらい暴力的だ」。雨傘運動にも参加した大学生のフォレスト・ライさん(22)は憤りを隠さない。12日の衝突では武装した警察官から盾や棒で繰り返し殴られた。「参加者がこれ以上増えないように、見せしめの意味もあると思う」

 友人4人と参加した教師の女性(24)は雨傘運動との違いについて「5年前は民主選挙という新しい自由を取りに行く運動だったが、今回は既にある香港の自由を守れるかどうかの闘い。今、頑張らないとずるずるとさまざまな権利が奪われる」と危機感をあらわにした。マンションの高騰や経済格差など多くの課題に有効策を打ち出せていないにもかかわらず、中国寄りの政策に傾斜する香港政府への不満をよく耳にするという。

 女性はデモ参加中、絶対マスクを外さない。「身元を特定されたら警察に何をされるか分からない。怖くても香港の未来のために声を上げ続ける」

 香港中心街の集会施設では、大量の水や食料を数十人のボランティアが運び込んでいた。「デモが再開されたら、ここから前線に運ぶ」と作業をしていたタクシー運転手のホーさん(30)は語る。警察に見つからないよう食料やヘルメットなどを十数カ所に分散して保管しているという。デモで条例改正案を撤回させられるか。疑問をぶつけると、ホーさんは真剣な目を向けた。「何もしないで成立するのを見るよりずっとましだ」

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