ある流派の茶席に取材を兼ねておじゃました…

西日本新聞 オピニオン面

 ある流派の茶席に取材を兼ねておじゃました。長時間の正座はつらいなと思っていたら、家元が「足の悪い方や正座が難しい方は、あぐらでも立て膝でも結構です」。伝統や作法を重んじるのが茶の湯の世界と思い込んでいただけに、意外だった

▼職場の「作法」に異を唱える声が広がっている。ハイヒールやパンプスの強制をやめてという訴え。かかとの高い靴は足を痛めやすく、転倒の危険もあるからだ

▼ネット上で、セクハラを告発するツイッターの「#MeToo」運動になぞらえて、「靴」と「苦痛」を掛けた「#KuToo」に強制への批判が続々と。1万8千人超の署名が集まり、要望書とともに厚生労働省に提出された

▼パンプス論争は国会でも。「職場での義務化は時代に合わない」「女性だけへの強制はハラスメントに当たる」と女性議員が追及。根本匠厚労相は「社会通念に照らして業務上必要かつ相当な範囲」で容認する考えを示したが、痛さを我慢して働いている女性には納得できまい

▼アンデルセンにこんな童話が。娘が履いた赤い靴が脱げなくなり、足が勝手に動きだした。死ぬまで踊り続ける呪いを掛けられていたのだ

▼礼儀作法だからとパンプス着用を強いる規則を、時代遅れの“呪縛”と感じ、脱ぎ捨てようとする女性たちの行動だ。「痛いのを我慢したら、茶はおいしくいただけません」。家元の柔らかな言葉が耳に残る。

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