長崎市、「常設型」住民投票導入へ 議会同意不要 近く有識者会議発足

西日本新聞 長崎・佐世保版

 長崎市は有権者の一定の署名が集まれば、議会の同意がなくても「住民投票」ができるシステムの導入に向けて有識者による検討を始める。早ければ6月定例会にも関連予算案を提案する方針で、田上富久市長は本年度中の条例制定を目指す。

 有権者の50分の1の署名が集まった場合、首長は地方自治法の規定に基づき、議会に住民投票実施条例の制定を諮る。だが議会が反対すれば投票に至らず、同市では2016年からの3年間でそうした事例が5回続いた。

 議会の同意が不要なシステムは「常設型」と呼ばれ、市によると、全国で少なくとも42の自治体が導入。住民投票の乱発による混乱を防ぐため、実施に必要な署名の割合を条例で一定の高さに設定する。首長と議員のリコール(解職請求)に必要な「3分の1」が一つの目安とされるが、自治体によってそれぞれ異なる。

 地方自治法と、条例による住民投票のいずれの場合も、投票結果は尊重されなければならない。14年に導入した兵庫県丹波篠山市では、昨年11月の市名変更の是非を問う住民投票の結果を受け、「篠山市」から変更。担当者は「市民が納得する形で決まった」と歓迎する。一方、15年に導入した福岡県嘉麻市の担当者は「冷静な議論がなされないまま、雰囲気だけで決められる恐れがある」と、デメリットもあると考える。

 5月の定例会見で導入を表明した田上市長だが、市長選期間中の西日本新聞のアンケートには「住民投票が常に最適な方法ではない」とも回答。結局は、どうすれば住民の意見をきちんと吸い上げ、施策に反映できるのか、案件に応じて丁寧に対応するしかないようだ。

 行政の動きに対し、市内で見つかった遺構の保存を求めて、住民投票の署名を集めた元長崎総合科学大教授の鮫島和夫さん(72)は「常設型の設置ですべての問題が解決するわけではない。市は5回も住民投票を求められた理由、それをすべて退けたことの是非を検証するべきだ」と指摘している。

長崎県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ