カーリングの彫刻「そだね~」全国展へ 飯塚の田中さん作品

西日本新聞 筑豊版

 自宅の一角で彫刻に取り組む飯塚市長尾の田中哲雄さん(69)が手掛けた立体作品が、昨年の「県シニア美術展」彫刻の部で奨励賞を受賞した。11月から和歌山県で開かれる「全国健康福祉祭 和歌山大会美術展」に出品される。受賞作は、平昌冬季五輪でカーリング初の銅メダルを獲得した女子日本代表をモチーフにした「そだね~」。これまで全て独学で制作を続けており、全国大会への出品は自身初となる。

 田中さんは60歳の時に建設会社の経営から退き、3年後の2013年に彫刻を始めた。きっかけは京都の旧家で見た花の形の釘隠(くぎかくし)。「きれいだなと思った。時間に余裕もでき、作ってみたくなった」。それまでもの作りはしたことがなかったが、参考に撮影した釘隠の写真を見ながら自宅にあるヒノキなどの木材を使い、花形のストラップやブローチを作り始めた。

 「物足りなさを感じてきた」と、15年からは人の動きが表現できる立体作品に挑戦。演奏を披露する「おやじバンド」やテニスの大坂なおみ選手、将棋の羽生善治九段と藤井聡太七段の対局など、その時々の話題を取り入れた作品を多く手掛けてきた。

 「妻に『ちょっと体をひねってみて』と言っても断られるので…」と、自ら鏡の前に立ってボールを打つ姿や楽器を吹く時の頬の膨らみなど、入念にポーズを繰り返してノートにデッサン。「木は彫ったら終わりだから、まずざっと描いて想像し、少しずつ彫っていく」

 今回出品する「そだね~」は、選手が持つ細いブラシを彫るのが難しかったといい、毎日就寝前の2時間を制作に充てた。完成までに要した期間は約15日間。県シニア美術展の審査員からは「伸びやかな雰囲気と緊張感のある視線の交差という相反する感覚を一つの空間にうまくまとめている」などと講評された。

 田中さんは「彫刻は完全なる趣味ですよ」としながら「せっかくなら何かしらの評価が欲しかった。周りには『もう少し上達してから出品したら』と冗談で冷やかされていたが、まさか全国に行くなんて。運が良かったのかな」と笑顔を浮かべる。

 現在は「発表会(仮)」と題し、ピアノとバイオリンを演奏する少女を彫っている。「例えば洋服のシワなど、表現したいことはまだまだたくさんあるが、技術が追いつかない。これからもっと完成度を高めていきたい」。芸術家に勝るとも劣らない心意気で創作を続け、いずれ個展を開くのが現在の夢だ。 

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