今年5月が没後10年だったロック歌手の忌野清志郎さん…

西日本新聞 オピニオン面

 今年5月が没後10年だったロック歌手の忌野清志郎さん。ライブが最高潮に達すると必ず「日本の有名なロックンロール」と叫んで歌いだすカバー曲があった。「上を向いて歩こう」。忌野さんの言葉通り、これほど世界に知られた日本の歌はない

▼きょうは、この歌がちょうど56年前に「SUKIYAKI(スキヤキ)」の題名で全米1位に輝いた日である。ブームは英国やドイツへ広がり、ノルウェーやイスラエルでもトップになった

▼歌が生まれたのは、60年安保闘争が終わり若者に挫折感が漂った1961年。気鋭のジャズピアニストの中村八大さんが大学の後輩の永六輔さんに作詞を頼み、まだ19歳の坂本九さんを歌手に抜てきした

▼ヒットの理由は、いろいろあろう。中村さんの美しいメロディー。永さんの飾らない言葉。何より坂本さんの笑顔と歌唱法がキュートだった

▼坂本さんは少年期からエルビス・プレスリーに憧れて米軍クラブで歌い、そこから語尾を伸ばすあの「ウォウォウォ」の歌い方が生まれたという。忌野さんがカバーしたのも、その歌声にロックの魂を感じたからでは

▼この歌は64年東京パラリンピックの入場曲となり、2011年東日本大震災では被災地への応援歌となった。「♫上を向いて歩こうウォウォウォ 涙がこぼれないようウォウォに」。歌にまつわる人が皆、星になっても、ずっと日本人を励ます奇跡の歌である。

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