被爆と人生語る傷痕 写真家・大石さん写真集「長崎の痕」出版

西日本新聞 長崎・佐世保版

 戦争被害に遭った国内外の人々を被写体にしている写真家の大石芳野さん(76)が、長崎の被爆者の姿を捉えた写真集「長崎の痕(きずあと)」(藤原書店)を出版した。撮影した被爆者の多くは柔和な表情を見せているが、大石さんは「笑顔の奥にある悲しみ、苦しみを感じ取ってほしい」と語る。 

 大石さんは東京出身。これまで広島や沖縄、カンボジアなど戦争や紛争の傷痕が残る地域や国で撮影を続けてきた。「長崎の痕」には1997年から取材した被爆者130人を収録。表情だけではなく、体の傷をさらす様子も載せ、被爆体験やその後の人生に触れる文章を添えた。

 核廃絶運動のリーダー的存在で2017年8月に死去した谷口稜曄(すみてる)さんの写真は、背中のケロイドや傷ついた胸があらわになっている。「どうか目を背けないで、もう一度よく見てほしい。今もなお私たちの全身には原爆の呪うべき爪痕がある」。生前に語った言葉とともに、見る人に訴えかけてくる。

 15日は長崎市で、写真集を語るシンポジウムが開催された。登壇者の一人で、被写体になった日赤長崎原爆病院名誉院長の朝長万左男さん(76)は「被爆者一人一人の人生が投影されている」と語った。

 大石さんは「記憶は人それぞれでも、戦後の生き方は皆、被爆したことが軸足となっている。まだまだ取材は終わっていない」と述べた。

 「長崎の痕」は288ページ。被爆体験者や被爆遺構も取り上げている。税別4200円。

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