「ホウキング」2代目完成 作物傷めない除草すき 桂川町の有機農家・古野さん

西日本新聞 筑豊版

 アイガモ農法の第一人者として知られる桂川町の有機農家古野隆雄さん(68)が、3年前に金属製松葉ぼうき(熊手)の針金部分を使って考案した除草すき「ホウキング」。作物が少し大きくなった「生育初期」に畑で引くと、雑草だけが取れる魔法のような道具だが、改良を重ね、2代目が完成したという。桂川町で開かれた発表・実演会に参加した。 

 5月中旬、桂川町の「合鴨家族 古野農場」。県内外から集まった農業関係者ら約100人の前で、古野さんが「ホウキング2」を引くと、10センチ程度に育ったホウレンソウは針金の隙間をすり抜け、小さな雑草だけが次々と掘り起こされていった。「作物が少し大きくなり雑草が小さい状態が最適なホウキングの時期です」

 2016年9月に考案した初代ホウキングは、放射状になっている松葉ぼうきの針金を6本だけ残し、それを縦に四つ連結。2代目は切断した針金を、穴を開けた角材に差し込んで固定し、それを四つ連結。角材は可動式にした。

 角材の角度を変えられるようにしたことで、針金が通る幅を狭くするなどの調整が可能となり、より小さな雑草なども取り除くことができるようになった。初代ホウキングの重量は約4キロだったが、2代目では軽量タイプ(約2・5キロ)も追加した。

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 ホウキングは作物の苗や芽を掘り起こしたり、傷つけたりせずに、雑草だけを取り除けるのが特徴だ。なぜ、そんな「選択除草」が可能なのだろう。

 古野さんによると、使用する松ぼうきの針金は「ばね鋼」でできており、何らかの力が加わると元の状態に戻ろうとする。畑でホウキングを引くと、先端部分は土の抵抗で上下左右に動きながらも深さ約1センチの位置を維持。生育初期の雑草は、作物よりも根が細く浅いため、ホウキングは雑草だけを掘り起こす。針金が左右に動くことで、機械では難しい株間の雑草もしっかり除去できる。

 神戸大大学院農学研究科の庄司浩一准教授が指導する学生が昨年11月、ホウレンソウが5~9葉に育った畑で使用すると、除草率は68・2%、葉や茎が折れるなどした欠損率は3・0%だったという。

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 ホウキングの開発は16年2月、共に有機農業に取り組む長男から「オランダの除草機を購入しよう」と打診されたのがきっかけだった。

 有機農業は「除草などに労力がかかることが課題」(農林水産省農業環境対策課)。当時、古野さんは県内の農業機械メーカーと針金を使った除草機の開発に当たっていたが、針金が土に深く突き刺さるなどの課題を解決できずにいた。「アイデアが思い浮かばず、がっくりしていた」ときに、倉庫で金属製の松ぼうきを見つけた。「これなら軽くて土に深く突き刺さらないのでは」。畑で何度も試して農機具に仕上げた。

 100メートルの畝の場合、手作業だと2時間程度かかっていた除草作業はホウキングを使うと1分程度で終わる。実際に使っている農家からは「除草作業が楽になった」などの感謝の声が寄せられているという。

 古野さんは昨年、有機農業の国際会議があったフィリピンなどで初代ホウキングを披露。「魔法のほうき」などと高く評価された。古野さんは発表・実演会などでホウキングの具体的な作り方を教えている。「皆さんといろいろ意見を出し合って、ホウキングがよりよい除草機具になればうれしい」。ホウキング2は3千円程度で製作可能だ。

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