元教諭、ネパールに小学校 福岡市の古野さん600万円寄付 現地で交流

西日本新聞 社会面

「ネパールの子どもが学べる環境を整えたい」と語る古野美智子さん 拡大

「ネパールの子どもが学べる環境を整えたい」と語る古野美智子さん

今年1月、ネパールのガウンハリ小で子どもたちに歓待される古野美智子さん(右端)。奥に見えるのが建設中の校舎

 私財を投じ、ネパールの農村に小学校を建設している人がいる。福岡市城南区の元小学校教諭、古野美智子さん(84)。現地で目にした恵まれない教育環境に胸を痛め、残しておいた退職金から約600万円を充てることにした。大喜びするネパールの人々と交流し、「何物にも代え難い喜び」をかみしめている。

 古野さんは2007年、エベレストを見る観光ツアーでネパールを訪れた。そこで目に留まったのは朝の登校時間に山手に向かう少年。7、8歳だろうか。ガイドは「子どもは労働力。近くに学校もない」と教えてくれた。

 小学校に40年勤めた古野さんは日本との違いにショックを受け、何か支援ができないかと考えた。妙案は浮かばず時は過ぎたが、その思いは消えなかった。

 昨春、テレビを見ていると、終活の一つにネパール支援が紹介されていた。地元の社会福祉協議会に相談すればいいという。「私にぴったり」。協議会に連絡し、兵庫県の非政府組織(NGO)「アジア友好ネットワーク」を寄付先に選んだ。相談した息子は「母を誇りに思う」と言ってくれた。

 このNGOは企業や個人からの寄付により、これまでに79校の学校をネパールに整備。古野さんの寄付で、カトマンズの南西方向に位置するガウンハリ小の校舎が新設されることになった。以前のわら小屋の校舎は朽ち果て、現在は約180人の子どもたちが屋外で授業を受け、雨が降れば学校は休みになるという。

 古野さんは今年1~2月、現地を訪問した。ネパール語であいさつし、友人に託された資金で買ったノートや鉛筆を配り、城南区の住民に協力を得て作った千羽鶴を渡した。子どもたちは次々と花の首飾りを古野さんに掛け、満面の笑みを浮かべながら踊って喜びを表現してくれた。

 飛行機や車での長時間移動に加え、ネパールの食べ物が合わないなど疲労困憊(こんぱい)の旅でもあったが、「純粋な子どもたちに胸を打たれた」。来年4月ごろの完成時期には、再び現地へ行くつもりだ。

 子どもたちは、農業用のような袋をかばん代わりに使っており、ちゃんとしたかばんも買い与えたいという思いも募る。一人だけでは限界があるため、周囲に支援の輪が広がることを期待している。「国の将来をつくるのは子どもたち。勉強したいという希望を少しでもかなえられれば」

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