就職氷河期世代 社会全体の支援が不可欠

西日本新聞 オピニオン面

 大学や高校の卒業がたまたま不況期と重なった人の人生が、そのことに左右されていいはずがない。政府だけでなく、社会全体として、対策に本腰を入れる必要がある。

 社会人としてスタートする就職の際につまずいた人が多い「就職氷河期世代」のことだ。今も不安定な暮らしを続けている人が多く、政府を挙げて就労などの支援に乗り出す。この世代の正規雇用者を3年間で30万人増やすという目標を、近くまとめる骨太方針に盛り込む。

 就職氷河期とは、就職難だった1993年から2004年ごろを指す。90年代初めにバブル経済がはじけた後、不良債権問題やITバブルの崩壊で日本経済の低迷が続いた。大企業は一斉に採用を絞り込み、バブル期に2倍を超えていた大卒求人倍率は1倍前後にまで落ちた。正社員の口が見つからないまま、非正規の労働者やフリーターとして社会に出た人も多かった。

 新卒一括採用と終身雇用を基本とする日本の企業社会では、既卒者の職探しは簡単ではない。年齢が上がるほど就職活動は厳しさを増していく。

 その結果、30代半ばから40代半ばになった現在も、意に反して非正規の仕事を続けたり、社会との接点がないまま引きこもったりした状態の人が少なくない。生活基盤が安定しなければ結婚や出産に二の足を踏むことにもつながりかねない。

 本人には何の落ち度もないのだから、自己責任論で片付けるわけにはいかない。レールから外れたらやり直しが利かない社会の方が問題だ。この世代を放置すれば、親の介護を支えられなくなるだけでなく自身も困窮する人が多く生まれ、社会保障費の増大など財政にも深刻な影響を及ぼす恐れがある。

 今回、政府は正規雇用の希望がかなわないでいる非正規労働者や長期無業者など100万人程度を支援対象と位置付ける。職探しも家事もせず家にこもりがちの約40万人も含まれる。

 3年間の集中対策では、資格取得や職場実習を組み合わせたプログラムを提供したり、教育訓練などは民間委託先に成果に応じ報酬を支払う方式にしたりして短期間で成果を上げる。自発的に申し出ない層への情報提供や相談の働き掛けなど、息の長い取り組みも行うという。

 就労困難者を一定の期間、試用した企業に助成する制度などは既にあるが、利用は低調だ。多様なニーズに応えるメニューが必要だし、企業側も氷河期世代を生んだ当事者として、積極的に取り組んでほしい。

 雇用環境は景気で変動する。この機会に安心して再チャレンジできる社会に近づけたい。

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