同性カップルの不安解消を 五十嵐ゆりさん

西日本新聞 オピニオン面

五十嵐ゆりさんNPO法人RainbowSoup理事長 拡大

五十嵐ゆりさんNPO法人RainbowSoup理事長

 ◆婚姻の不平等

 「ところで五十嵐さんは、結婚したいと思わないのですか」

 近ごろは「性の多様性」をテーマに地域や学校、企業などで講演する機会が増えており大変ありがたいのだが、ある講演後の質疑応答の時に、参加者から冒頭の質問が発せられた。「誰を好きになるのか」という性的指向、「自分の性別をどうとらえているのか」という性自認、「自分をどう表現したいのか」というジェンダー表現のこと、そしてLGBTなど性のあり方が非典型的な性的少数者のこと、体験談や国内外の状況、社会はどう変わるべきかなどについて、90分近く講演をした後の質問であった。

 脱力する思いを抱えながら「私はレズビアンですから、同性と結婚できる制度が整ったら結婚したいとは思いますが」と回答すると、質問者はキョトンとした表情であった。女性は男性と結婚するもの、異性婚が当たり前のこと、という考えがそうさせるのだろうか。このテーマの話を聞くのが初めてだったとしたら、たった一度の機会で従来の価値観を変えることは難しいだろうと思いつつ、異性愛規範やジェンダーバイアス(男女の役割についての固定的な観念)の根強さを思わずにいられない体験であった。

 この2月、同性婚を認めないのは憲法違反であるとして、同性カップルが東京、大阪、札幌、名古屋で一斉に国を提訴する動きがあった。福岡市をはじめ全国22の自治体で運用されている同性パートナーシップ制度は法的効力がほとんどないにもかかわらず、400組以上の同性カップルが申請している。現状ではどれだけ長くパートナー関係にあっても、健康保険や公的年金など法律婚に認められているさまざまな制度は一切利用することができないし、病院では「家族」として扱われないケースも聞く。同性パートナーが外国人の場合は、配偶者ビザはおりない。また同性カップルで子どもを育てていても2人ともが親権者になることはできず、同性カップルは安心して日常生活を営むことができない。

 先ごろ台湾で、同性間の結婚の権利を保障する特別法が可決され、受付初日から数百組の同性カップルが手続きを済ませたそうだ。同性婚の合法化はアジア初めてとのことで、日本における議論がさらに進むことを期待したい。

 五十嵐ゆり(いがらし・ゆり)NPO法人RainbowSoup理事長 1973年生まれ、東京都出身。Rainbow Soupは2015年にNPO法人化し性的少数者(セクシュアルマイノリティー、LGBT)に関する情報発信や啓発活動に取り組む。

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