応援協定、延焼防ぐ 全消防車現場へ出動 自衛隊が給水車派遣

西日本新聞 北九州版

築上町東築城の火事現場で放水をする京築広域圏消防本部と築上町消防団 拡大

築上町東築城の火事現場で放水をする京築広域圏消防本部と築上町消防団

築上町東築城の火事現場に応援に駆け付けた航空自衛隊築城基地の給水車(読者提供)

 築上町東築城で5月30日に発生した火災は、3棟を焼いて約6時間後に鎮火した。現場は木造建物が密集しており、さらなる延焼も懸念されたが、消防、消防団、航空自衛隊が連携し食い止めた。当日の動きを振り返ると、火災現場を管轄する京築広域圏消防本部(豊前市)と、行橋市や大分県中津市消防本部、航空自衛隊築城基地(築上町など)との消防相互応援協定がうまく機能したようだ。

■一報で懇親会中止

 「居酒屋の炊事場から火が出ている」。京築広域圏消防本部に119番があったのは30日午後7時25分。

 その時間、消防本部の幹部と豊前市や築上町など1市4町の消防団長らの懇親会が同市内の居酒屋で行われていた。出席していた警防課長に火事の一報が入ると、懇親会は中止に。幹部は消防本部へ、築上町の消防団長は現場へと向かった。

 まずは西部分署(築上町)と豊前消防署、京都分署(みやこ町)から消防車が現地へ向かい、築上町消防団と消火に当たった。「火の勢いが強く、消防力が足りない」。出動を増やした「2次出動」を経て午後8時9分、消防本部はほぼ全消防車を現地に向かわせる「3次出動」の決断をした。

 このことは管内で別の火事が発生すれば対応できないことを意味する重い判断だ。同時に、別の火事に備え、協定に基づき行橋市と中津市の消防本部に連絡、緊急時の応援を依頼した。

■糸魚川大火の教訓

 3次出動を決めた後、豊前消防署の上森伸一署長は現地へ向かい、指揮を執った。火災現場近くには五つの防火水槽に計200トンほどの水があったが、一つが空になり、築城基地に15・6トンの給水車の派遣要請を決めた。また、約500メートル離れたため池からもホースをつなぎ、取水した。

 当時、上森署長ら消防本部幹部の頭をよぎったのは「糸魚川大火」だった。2016年12月、新潟県糸魚川市で発生した大火では、強風が吹き147棟、計約3万平方メートルを焼損した大惨事だ。

 消火活動から1時間以上たっても火の勢いはおさまらず、このままではさらに延焼しかねない。糸魚川大火を教訓に、まずは水を確保し、総力戦で鎮火にこぎ着けた。鎮火後も残り火の影響で何度か煙が出たため、放水を繰り返した。

 出火当時の風速は南南西の風0・9メートル。その後、風向きは変わったが、風速が1メートル前後だったことが不幸中の幸いだったという。

■効果的運用を協議

 「自衛隊にもっと早く協力を要請できなかったのか」。築上町議会の6月定例会一般質問で、火事に関する質問が相次いだ。

 消防管理者の新川久三・築上町長と築城基地の佐藤信知・基地司令の話し合いでは、災害を減らすため、さらに早く支援できるようにすることで一致。西日本新聞社の取材に佐藤司令は「近傍の火災について、任務に支障のない限り規則等にのっとり、消火支援する」と回答を寄せた。

 京築広域圏消防本部と築城基地、行橋市消防本部が結んでいるのは、火災に限定した協定。消防本部から要請があれば、自衛隊側が支援する内容で、台風や豪雨、地震などの災害時に知事からの要請に基づく災害派遣とは異なる。関係機関との協定を生かし、どのようにすれば迅速かつ効果的にできるのか。自治体の防災会議などを通じて協議が続く。

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