70歳の現役学生「学費」寄付 建築士目指す野副さん 早期に単位取得 「1年分」100万円

西日本新聞 筑後版

 70歳の現役の久留米工業大4年生、野副信子さん=福岡市中央区=が9月の卒業を控え、大学に100万円を寄付した。不動産会社社長として働きながら、建築士の資格取得を目指す野副さんは、3年かかると見込まれた単位取得を2年で終えたため、「1年分の学費」を贈った。学ぶ喜びを実感する最年長の学生は、学びやを巣立ち国家試験へ挑む。

 「私が20代の頃は、女性が仕事と家庭を両立する考えはなく、30歳までには結婚して家庭に入るのが常識でした」

 野副さんは、英会話教室で知り合った医師の夫・勝さんと26歳で結婚。夫の留学に合わせて渡米し、長男を出産した。帰国後は夫が東京、福岡で開業した病院の事務などをこなした。病院を支えるため、税理士の資格を得ようと大学院を受験。合格したが勝さんの「温かい食事が食べられなくなる」との言葉で断念したこともあった。

 2004年、夫の他界が転機となった。学びたいとの意欲が高まり、通訳士や宅地建物取引士などの資格を取得。そうした中で、本当に自分がやりたいこととして頭に浮かんだのが、米国で見た塀や柵の区分けがない開放的な街並みだった。自然に囲まれながらともに関わり合って暮らす人々。「地方の人口は減るばかり。お隣さんの顔も知らない町でなく、住人がつながり、支え合う魅力的な町をつくりたい」。土地の売買を手掛けていた父親の影響もあって、15年に福岡市内に不動産業を開業した。

 だが、宅地開発の依頼を受けても、図面を引くのに必要な建築士の資格がなかった。もどかしさから同大の建築・設備工学科へ3年次編入することを決意。広川町にアパートを借り、平日は授業やゼミ、休日は仕事に取り組んだ。微分・積分・力学など、未知の領域に踏み込んで苦戦したというが「若い頃より苦労はするけど習得した時の喜びは年々増している」と笑う。

 寄付を受けた同大は11日、野副さんに感謝状を贈った。野副さんは「学生生活はあっという間だが、限られた時間の中で、学ぼうと思えばいくらでも学べる。孫世代の同級生には、目標を持って学生生活を送ってほしい」とエールを送った。

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