【備えは】北九州市営住宅の高齢被災者苦難 入居継続、自宅が重荷 

西日本新聞 北九州版

 2018年7月の西日本豪雨発生から1年が近づき、市営住宅に一時入居している被災者に正式な入居期限が迫っている。北九州市内では17世帯31人が非常時に入居できる制度を活用。市営住宅での生活継続を希望する人もいるが、不動産を所有していると引き続き市営住宅には入居できない。高齢の被災者に持ち家や制度が重荷になっている。

 「家があるばっかりに大変。市には家をやるって言ったんだけど…」。八幡東区の市営住宅に昨年7月から一時入居している80代の女性は、市に市営住宅からの退去を求められている。同区にある自宅は豪雨直後に損壊した。土台から傾いているため、多少の修繕で住めるような状況ではない。解体費を捻出するために土地を処分しようと不動産会社に相談している。ただ、斜面地にある自宅の近所には空き家が多い。自分の土地だけが売れるとも思えない。年金暮らしで、解体費用のめども立たない。

 斜面住宅地の多い八幡東区。丘の斜面に張り付くように立ち並ぶ住宅地は戦後、多くが夢のマイホームを求める八幡製鉄所や関連会社の社員たち向けに分譲された。女性の死別した夫も八幡製鉄所に勤務していた。約50年前に購入したマイホーム。若い頃には気にならなかった坂が年老いて重荷になっている。

 被災者は市営住宅の「目的外利用」制度の下、一時入居している。目的外利用は、市の判断で火災や自然災害などで住居を失った人に一時的に提供できる。期間も状況に応じて市の判断で決定できる。

 今回は約50戸を準備し、6カ月間で、最大1年間までの延長。1年を超すと正式入居の手続きが必要となるが、公営住宅法は、社会福祉の増進を目的に「低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」するとしており、入居には所得や資産など制限がある。

 市住宅管理課によると、昨年7月末には24世帯48人が制度を利用。5月末時点で17世帯31人が入居し、3分の2は60歳以上で高齢者が多い。同課は「生活再建のプランを練るという一時入居の一定の役割を果たした。(持ち家の問題については)制度の趣旨からは外れるが、柔軟に対応せざるを得ないかもしれない」としており、きめ細かく対応していく考えだ。

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