香港デモSNSで勢い 情報駆使し政府と対峙

西日本新聞 総合面

 【香港・川原田健雄】香港政府が「逃亡犯条例」改正を延期したにもかかわらず、若者を中心とした抗議行動は収まる気配がない。16日のデモには過去最多の「200万人近く」(主催者発表)が参加し、17日も市民数千人が立法会(議会)周辺で「改正撤回」を訴えた。2014年の民主化デモ「雨傘運動」のような学生リーダーはおらず、若者たちは交流サイトを通じて連携しながら政府と対峙(たいじ)している。

 「今夜、(立法会のある)金鐘一帯を占拠する。決行は午前0時!」。16日深夜、会社員のアニーさん(31)は通信アプリ「テレグラム」のグループチャットで連絡を受けた。メッセージが第三者に読まれないよう暗号化して送受信されるためデモ参加者の連絡手段になっているという。「危険だから子ども連れがいたら帰宅するように勧めて」など次々とメッセージが入る。現場には深夜にもかかわらず、同じように連絡を受けた若者数千人が集まっていた。

 17日に立法会近くの抗議集会に参加した中学3年のジェスタさん(15)も交流サイトで集会を知った。「ネット情報を基に、警察から追跡されないよう交通系ICカードを使わないで来た」と語った。

 立法会を包囲した12日のデモでは若者たちが横隊列を組んで道路を封鎖。鉄柵で素早くバリケードを作った。「雨傘運動の経験者が占拠方法や催涙弾への対処をサイトに書き込んでいる。ノウハウが引き継がれている」と大学生のライさん(22)は明かす。

 香港政府は教員に対し、条例改正について公の場で語ることを禁じる一方、公立病院にデモで負傷して受診した患者の個人情報を提出するよう通知。抗議行動を抑え込もうと躍起になっている。しかし、若者らはこうした通知の内部文書を交流サイトで暴露、拡散し対抗している。

 警察がテレグラムのグループ管理者(22)を暴行扇動の疑いで拘束した際も、「グループ内に警察のスパイが紛れ込んでいる」としてグループを地域別に小分けしたり、参加者の過去の発言をチェックしたりする対応策が交流サイトを通じて一気に広まった。

 雨傘運動では、各大学の学生会でつくる「香港専上学生聯会」など学生団体の幹部が主導したが、成果なく運動が収束し、学生運動は衰退した。

 雨傘運動で学生らを支援し、今回もデモに参加している歌手のデニス・ホーさん(42)は「リーダーがいないのが今回の特徴。交通事故車両を装って立法会に通じる道路を封鎖するなど、市民が自由な発想で自分にできることに取り組んでいる。だから勢いが衰えない」と分析した。

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