対米けん制、中朝接近 G20控え、思惑一致

西日本新聞 総合面

 【香港・川原田健雄、ソウル池田郷】中国の習近平国家主席が20~21日に北朝鮮を訪問すると中朝両国が電撃発表した。背景には今月末の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を前に、米国をけん制する思惑がちらつく。貿易摩擦と非核化を巡ってそれぞれトランプ政権と対立する両国が連携し、対米交渉を有利に進めたい構えだ。

 北京の外交筋の間では、米中貿易協議が大詰めを迎える中、中朝の過度な接近を警戒するトランプ大統領を刺激しないため、習氏の訪朝は秋以降になるとの見方が多かった。

 ところが、貿易協議は解決の糸口を見いだせないまま。安全保障なども含めて米中対立は深刻さを増している。このため習指導部はむしろ北朝鮮への影響力を誇示し、米国との交渉カードにした方が得策と判断。習氏の訪朝で北朝鮮から非核化に前向きな対応を引き出せれば、G20サミットに合わせて開催が見込まれる米中首脳会談に優位な立場で臨むことができる。

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長にとっても、習氏との密接な関係をアピールすることは、非核化交渉が行き詰まっている米国への揺さぶりになる。

 北朝鮮はベトナムで2月に開催された米朝首脳会談が決裂して以降、短距離弾道ミサイルを発射するなど軍事的な挑発を再開。一方で正恩氏は今月、トランプ氏に友好的な書簡を送るなど、硬軟を織り交ぜて譲歩を引き出そうとする姿勢が目立っていた。

 しかし、米国は完全な非核化をしない限り経済制裁を解除しない方針を明確にしており、正恩氏は打つ手が乏しい状況に追い込まれていた。韓国でも、正恩氏と習氏の会談はG20サミット前にはないとみられていただけに、韓国の聯合ニュースは「電撃的な実現」と伝えた。

 両首脳ともに米国に対する厳しい現状を打開したい思惑が一致した形だが、トランプ氏の反発を招く恐れもあり、効果は見通せない。

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