消えゆく風景がある…

西日本新聞 オピニオン面

 消えゆく風景がある。時代の宿命であろう。列島各地をつなぐJR在来線。昭和の趣が残る旧国鉄製の車両が次々に引退している。そんな記事が先日、本紙の夕刊に載った

▼老朽化に伴う車両の世代交代。鉄道ファンから惜しむ声も上がるが、やむを得まい。JR各社の新型車両は省エネ設計。乗り心地や安全性も向上している

▼こちらは宿命と割り切れるのか。設計のやり直しは容易ではない。老後の暮らし。65歳と60歳の夫婦があと30年生きるには、年金とは別に2千万円の貯蓄が必要-と金融庁審議会の報告書

▼「安心」が消えて不安が増した人も多かろう。年金財政は確かに厳しい。だったら説明すればいいのに、政府は報告書を受け取らず“なかったこと”にしたいようだ。無責任である。かつての「消えた年金記録」の悪夢もよみがえる

▼この国では消えてはならないものが消える。東京福祉大では3年間で1600人余の留学生が所在不明になった。大学の責任は当然として、文部科学省の監督の甘さにもあきれる。安倍晋三政権はこの問題の火消しにも躍起だ

▼国会会期末が迫り、参院選の号砲も間近。この場を何とか収め、選挙で勝って失政を“帳消し”に、という算段か。国民の目は節穴ではなかろう。JRは民営化で旅客サービスも向上した。それに引き換え政治は旧態依然。政治家の質の劣化を憂える声は消えない。それこそ困りものだ。

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