あるべき米国、問う戦い トランプ氏再選出馬表明

西日本新聞 国際面

 来年の大統領選は、国内景気の浮揚を図る一方、自国の国益追求最優先の政権運営で国内外に衝突や摩擦を生むトランプ氏の信任投票になる。それは同時に「米国はどうあるべきか」という国家観が米国民に問われる戦いでもある。

 「キープ・アメリカ・グレート(米国を偉大なままに)」‐。18日のフロリダ州での決起集会でトランプ氏は、16年の大統領選時に掲げた「米国を再び偉大に」に続く新スローガンを連呼。「米国第一主義」に基づく政権運営の継続への支持を訴えかけた。

 トランプ氏の視線の先には「忘れられた人々」の存在がある。経済のグローバル化や、格差社会の拡大にもがき苦しむ中西部の工場労働者や南部の農家が代表例。その中心である白人層には、移民の流入により有色人種が増え、彼らの発言力が強まれば、将来、自分たちが少数派に転じるとの危機感も抱える。

 トランプ氏は過去の大統領がそうした不満や不安に応えてこなかったと訴え、「救済者」として雇用の増加や不法移民対策といった政策を徹底。同盟国が相手であろうと輸入品への高関税措置を振りかざすなどして、自国の国益確保を追求し続けた。その結果、経済の高成長を実現し、野党民主党支持の一部リベラル層からも評価の声が上がる。

 しかし、国際協調を軽視し、超大国の国力を背景にした高圧的な政治手法により国際社会での孤立化は進行。米国の活力の源泉であるはずの移民の人権を踏みにじる規制強化など、保守層のつなぎ留めを意識したポピュリズム色の濃い内向きな姿勢は、米国が世界に示してきた民主主義、自由、平等といった崇高な理念に反するとして女性や若者らからの批判が絶えない。

 こうした状況を踏まえ、政権奪還を目指す民主党の大統領選候補者は、来年の選挙を「米国や米国民のあるべき姿を問う戦いだ」とそろって主張。トランプ氏の続投は「(理想の高い)国の本質を変える脅威となる」(バイデン前副大統領)と有権者に熟考を促す。

 理念対立に加え、強硬な保守路線をひた走るトランプ氏に、野党が社会保障の充実など左派色の濃い政策で対抗する構図も絡んだ、米国の針路を占う戦いが火ぶたを切った。 (オーランド田中伸幸)

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