党首討論 もっと頻繁に開けないか

西日本新聞 オピニオン面

 「言論の府」を名乗るなら、もっと頻繁に、かつ定期的に、さらに討論時間も延長して開催すべきである。

 今国会初の党首討論がきのう開かれ、自民党総裁の安倍晋三首相と立憲民主党の枝野幸男代表ら野党党首が論戦に挑んだ。

 26日の会期末が1週間後に迫った段階で、やっと実現した。時間的な制約で物足りないと感じた向きもあるだろうが、やはり党首同士が一対一で議論する意義はある。活性化の工夫を各党に改めて求めたい。

 野党の4党首がそろって取り上げたのが、金融庁の金融審議会が公表した老後資金報告書の問題である。国民の関心事という点で妥当な判断だろう。

 大きな論点は二つある。一つは、老後の備えとして公的年金以外に2千万円が必要-とした報告書の試算に対する評価だ。もう一つは、この報告書が「政府のスタンスと全く異なり、国民に不安を与えた」として麻生太郎金融担当相が受け取り拒否を表明したことの是非である。

 枝野氏は「報告書によって年金に対する関心と老後に対する不安が高まった」と指摘した上で、「問題の本質は、安心ばかりを強調して実態と向き合わない姿勢にある。森友・加計(かけ)学園問題をはじめ、公文書の隠蔽(いんぺい)・改ざんが繰り返され、責任の所在を曖昧にする姿勢だ」と安倍政権の政治姿勢をただした。

 これに対し首相は「平均値で見るのがいいのかという問題で、大きな誤解が生じた。違和感を抱いた人はたくさんいる」と説明する一方、「(第2次安倍政権の)6年間で380万人が新たに働き始め、年金保険料収入も上がった。成長と分配の好循環をつくりだした」と、アベノミクスの成果に絡めて年金制度の持続可能性を力説した。

 討論は必ずしもかみ合わなかったが、各党首の考え方は有権者に伝わったはずだ。野党側が年金問題にテーマを絞ったことで論点がある程度浮き彫りになった半面、外交・防衛や貿易交渉など他の重要課題が素通りされたのは残念だった。

 党首討論は英国議会を参考として2000年に導入された。二大政党制が基本で日本と同じ議院内閣制の英国に学んだが、その「本家」も欧州連合(EU)離脱を巡り議会の機能不全が指摘されている。野党が多党化して「1強多弱」と呼ばれる、今の日本の政治状況には合わないという指摘も確かにある。

 しかし長い目で見れば、20年足らずで「歴史的使命は終えた」と宣告するのは早計だろう。

 党首討論の在り方を国会改革の主要テーマの一つと位置付け、いま一度「有効活用」の方策を探るべきである。

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