佐世保出身・横尾監督、半生を作品に 映画「こはく」 大橋彰=アキラ100%の演技も見どころ 

西日本新聞 夕刊

父を捜す兄弟通じ 家族の愛を考える

 幼い頃に生き別れた父親を捜す壮年の兄弟を通して家族の愛を見つめた映画「こはく」が7月6日から全国で順次公開される。横尾初喜監督(40)=長崎県佐世保市出身=にとって、2017年の「ゆらり」に続く長編2作目は自伝的作品。ロケ地の長崎では、6月21日から上映される。

 主人公の亮太(井浦新)は幼少期に両親が離婚し、兄章一とともに父を知らずに育った。亮太もまた結婚生活は続かず、息子2人と疎遠に。再婚相手と仲むつまじく暮らしていたある日、章一が父への恨みを口にし、亮太は衝撃を受ける。

 物語の原案は横尾監督の実体験。妻で女優の遠藤久美子と再婚した3年前、兄の本心を知った。「兄の言葉は心に刺さり、僕の息子も僕を恨んでいるのだと思った」。父はどんな人だったのか。本作を撮るため、小学校卒業まで過ごした佐世保で父を知る人々を訪ね歩いた。作品の中でも、章一が町で父を見かけたと言い出し、兄弟で父を捜し回る。「半分はフィクションなのに、ドキュメンタリーを撮っているようだった」と横尾監督は振り返る。

 章一役の大橋彰の演技も見どころだ。大橋彰ではなく、お笑い芸人「アキラ100%」の方が通りがよい。定職に就かず、ほら吹きでお調子者の章一だが、父を失った影響が垣間見える。横尾監督は、大橋が芸人としてブレークする以前、舞台役者だった頃から注目していた。「コメディーな演技をしつつ、哀愁を漂わせる。決して意外性のある配役ではない」と言う。作品の終盤、兄弟が父と再会する場面の演技は圧巻だ。

 東京でミュージックビデオやバラエティーを中心に手掛けてきた横尾監督。全編長崎で映画を撮りたいとの思いを本作でかなえた。長崎市の路面電車や佐世保の商店街…。映像の随所に古里への愛着と、撮影に協力してくれた人々への感謝がにじむ。「『こはく』を通じて僕の価値観も変わった」。表情はすがすがしい。

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