DV加害者の戸籍閲覧“制限” 福岡市が運用変更 住所特定リスク回避

西日本新聞 一面

 ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待被害者の住所の特定に戸籍謄本が利用されることを防ぐため、福岡市は今春から、加害者側に安易に交付しないようシステム上「ロック」をかける運用を始めた。現住所が記載されない戸籍謄本の規制は全国的に珍しいという。インターネットの普及で、戸籍に記される配偶者らの情報から居場所が特定されかねないとの懸念が被害者から上がっていた。

 「不安が少し和らぎました」。区役所でロックをかけるよう手続きを済ませた福岡市の女性は話した。

 幼い頃から父親に虐待を受けた。殴る蹴る、首を絞める…。「おまえは奴隷だ」「一生逃がさない」と言われ続けた。成人後にシェルターに避難。連絡は絶ったが、父親は警察に捜索願を出そうとするなど、接触を試みてくるという。

 行政は、虐待やDV被害者への支援措置として住民票などの加害者への交付を制限しているが、現住所が記載されない戸籍謄本は対象外。戸籍法では、直系の血のつながりがある者は理由なく請求できるとあるため、加害者であっても、わが子の戸籍の情報を簡単に知ることができる。

 ネットや会員制交流サイトが普及した現代では、戸籍の配偶者の名前などから居場所を特定される可能性がある。女性もパートナーの情報を両親に知られることを心配し、結婚できずにいたという。

 こうした被害者の不安の声を受け、福岡市は運用を変更。支援措置を受けている人から申し出があった場合、システム上の制限をかけ、窓口で請求理由を問えるようにした。理由に正当性があるかどうか、法務局の判断を仰ぐなどの対応も取る。

 京都女子大の手嶋昭子教授(法社会学)は「ネット社会では戸籍の情報だけで現住所を特定できるリスクは高い。個々の職員の対応に任せるとばらつきが出る可能性があり、職員の負担感も大きくなる。被害者を守るために福岡市のような対応が必要だ」と話している。

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