ロストジェネレーション…

西日本新聞 オピニオン面

 ロストジェネレーション。直訳すれば「失われた世代」。文学では、ヘミングウェーやフィッツジェラルドら第1次大戦後、世に出た米国の作家たちを指す

▼ヘミングウェーの小説「日はまた昇る」の巻頭に引用された一文にちなんで、そう呼ばれる。<あなたたちはみんな、ロストジェネレーションなのよ>。先輩の女性作家スタインがヘミングウェーの世代をけなした言葉とされる

▼酒や快楽におぼれる「自堕落な」「駄目な」「迷子の」世代といった意味か。ヘミングウェーは見返してやろうと、出世作となった長編の巻頭にこの言葉を置いたといわれる

▼今の日本では、ロストジェネレーションは別の意味に。1993年から約10年間、バブルがはじけて企業の採用が極めて厳しかった時期に卒業し、社会に出た人たちを指す。「就職氷河期世代」とも呼ばれる

▼文字通り、希望する仕事に就く機会が「失われた」世代。非正規やフリーターとして働き、不安定な暮らしの人が少なくない。無業率も高い。景気が上向いて求人が増えても、年齢が上がるほど就職は難しく、結婚や出産に踏み切れない人もいよう

▼政府はこの世代を集中的に支援し、3年間で正規雇用を30万人増やすという。このままでは将来の社会保障に禍根を残すとの危機感もあるようだ。有効な支援策をぜひ。時代の不遇を見返し、再チャレンジで「日はまた昇る」社会となるように。

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