プラごみ対策 排出削減に本腰を入れよ

西日本新聞 オピニオン面

 長野県で開かれた20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合が、深刻化するプラスチックごみの海洋流出防止を進めるため、初の国際的枠組みを構築することで合意した。

 各国が対策に取り組み、その内容を定期的に報告して、情報を共有するという。監視体制の強化も盛り込まれた。

 国際社会が連携を確認した意義は大きいが、対策は各国の自主性に委ねられ、実効性は見通せない。排出量の削減などに関する数値目標も見送られた。今後も連携を深め、対策を拡充する必要がある。議長国として合意をとりまとめた日本には、けん引役を担う責任があろう。

 海洋流出を防ぐには、排出抑制からリサイクルまで総合的なプラごみ対策の充実が欠かせないが、日本は国際水準から大きく後れを取っている。

 国内では年間約900万トンのプラごみが発生している。有効利用率は8割を超えているとはいえ、焼却した際に生じるエネルギーを再利用する熱回収や、リサイクル資源としての海外輸出に頼っているのが実態だ。

 ペットボトルを繊維の原料に用いるような再資源化と異なり、熱回収は純然たるリサイクルとは言い難い。地球温暖化防止の観点からも問題がある。

 中国がプラごみの受け入れ禁止に踏み切り、東南アジアにも同様の規制の動きが広がっている。日本国内での処理は追いつかず、中間処理業者の敷地にプラごみが山積みになっている。

 今年5月、有害廃棄物の国際移動を規制するバーゼル条約の対象に、汚れたプラごみが加えられた。行き場を失うプラごみがさらに増える恐れがある。

 技術革新などでリサイクルを推し進めることは大切だが、まずはプラごみの排出量削減に本腰を入れるべきだ。

 G20会合に先立って、政府がまとめた「プラスチック資源循環戦略」には、コンビニなどで使われるレジ袋の有料化が示された。東京五輪・パラリンピックに間に合うよう、来年4月実施を目指すという。

 世界では既に多くの国がレジ袋を有料化している。使用を禁止している国もある。政府は関連業界との協議を急ぐとともに、消費者の理解を得るよう、啓発にも力を入れてほしい。

 循環戦略には、使い捨てプラごみの排出量を2030年までに25%削減する目標が盛り込まれた。こうした製品の使用を禁止する方針を打ち出した欧州などに比べ、控えめな目標と言わざるを得ない。

 日本は米国に次いで、1人当たりの使い捨てプラごみ排出量が多い国だ。政府には、さらに踏み込んだ対策を求めたい。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ