骨太方針 参院選控え「痛み」先送り

西日本新聞 オピニオン面

 政府は「経済財政運営と改革の基本方針2019」を21日に閣議決定した。いわゆる骨太方針で、第2次安倍晋三政権では7度目となる。

 少子高齢化の進展、経済成長力の伸び悩み、地方の景況感のばらつきなどを直面する課題として、社会全体を包み込むような持続的な経済成長と財政健全化の「両立」を最重要目標に据えた。それに向けて、経済の実力を示す潜在成長率の引き上げ、経済成長の果実を社会保障分野などで国民に広く分配して次の成長につなげる好循環の拡大、誰もが活躍できて安心して暮らせる社会づくり-の三つの視点で取り組みを進めるという。

 目標や対策の方向性は理解できる。人工知能やビッグデータ、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」など第4次産業革命ともいわれるデジタル技術の革新を、経済成長や、より便利で豊かな社会づくりにつなげなければならない。

 具体策として、不本意なまま非正規の仕事を続けたり、社会との接点が乏しかったりする人が多い就職氷河期世代の支援や、地方の生活基盤を守るため路線バス会社や地方銀行の経営統合を弾力的に認める特例法の制定、最低賃金を全国加重平均で千円に引き上げる目標の早期実現などを盛り込んでいる。

 いずれも大切な取り組みだが、これらを骨太方針と呼ぶには抵抗感がある。人づくり革命、働き方改革、地方創生、女性活躍と乱発気味のスローガンが並び、あれもこれもと各省庁の重点施策を列挙したとしか受け取れない。

 安倍首相が政権復帰した6年前、取りまとめた骨太方針文書の本文は36ページだった。それが昨年は72ページになり、今回は75ページにふくらんだ。ここまで水ぶくれすると、肝心の骨がどこにあるか分かりにくい。

 そもそも骨太方針は2001年、構造改革を唱える小泉純一郎政権下で始まった。打ち出された数々の政策に対する評価は分かれもするが、その特徴は、民間委員を含む経済財政諮問会議で議論することで、国民の多くに歓迎されないような政策であっても、あえて書き込む姿勢にあったのではなかったか。

 今回の方針では、社会保障の給付と負担の見直しなど痛みを伴う事項は先送りされ、政府の覚悟は見えない。10月の消費税率引き上げに関しても、景気への悪影響を抑えるため、来年度予算編成でも適切な規模の臨時・特別な措置を講じるとした。借金頼みの財政運営を改める姿勢はうかがえない。

 参院選を控え、有権者の歓心を買うための政策集なら、それは骨太に値しない。

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