宇佐神宮放生会、完全再現へ 世界無形遺産も視野

西日本新聞 大分・日田玖珠版

 大分、福岡両県の官民で構成する「宇佐神宮放生会シンポジウム推進連絡調整会議」(会長・飯沼賢司別府大学長)は、同神宮「放生会」が始まって1300年とされる節目の2020年に完全再現に乗り出す。同神宮の放生会は全国に広がる放生会の起源とされるが、最盛期の形をとどめていない。両県に点在する放生会の断片の祭礼を集めて実施し、本来の価値を再認識してもらう契機とする。

 放生会は720年、大隅国(鹿児島県)と日向国(宮崎県)で発生した隼人の反乱鎮圧により失われた多くの命を弔うために始まったとされる。8月の15日間約50の祭礼があり、六郷満山の仏僧も参加する豊前国(福岡県と大分県の一部)の総力を挙げた神仏習合の宗教儀礼だったという。

 田川郡(福岡県)で鋳造した銅鏡を宇佐神宮に奉納する宝鏡奏上▽上毛郡(福岡県)と下毛郡(中津市)の人形遣い「傀儡子(くぐつ)」による人形劇の船上奉納▽隼人の反乱を模した相撲奉納‐など数々の宗教儀式があったとされる。神宮最古の祭礼として毎年行われていたが、1307年を最後に完全な形での放生会は途絶えた。1420年と1617年に再興するが完全復活とはならなかった。明治以後は、仏教的要素を排除した仲秋祭として10月の3日間、和間神社へのみこし御神幸などが行われるのみとなり、他の多くの神事は旧豊前国各地の祭りとして続けられている。

 会議は21日に発足。計画では福岡県築上町の住民団体が10年ほど前に奈良時代の製法で製作した銅鏡の奉納や、同県吉富町の「細男舞(くわしおのまい)・神相撲」(国重要無形民俗文化財)や中津市の「傀儡子の舞と相撲」(同)の神事などを行う。今年9月に宇佐市で開催する放生会シンポジウムまでに詳細を詰める。

 飯沼会長は「県境という壁があり困難さもあるが、往時の放生会を視覚化し、映像にも残すことでまずは知名度を向上させたい」と力を込める。会議は今後、鹿児島や宮崎両県をはじめ、放生会ゆかりの全国の自治体とも連携し、将来的な国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界無形遺産登録も視野に入れる。

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