【暮らしの現場 参院選佐賀】(1)消費増税 混乱懸念、将来不安も

西日本新聞 佐賀版

 焦げ目の香ばしさに、モチモチした食感‐。佐賀市中心部にある飲食店「京風茶房 おちょぼ」で味わえる「みたらしだんご」は、多い日で約600本売れる人気メニューだ。

 ただ、好調な売り上げとは対照的に、代表の西岡忠芳さん(66)は10月に予定される消費税率の引き上げへの対応に頭を悩ます。

 今回の増税で国は軽減税率を導入する。外食と酒類を除く飲食料品などの税率は8%に据え置くため、店内での飲食は税率10%、持ち帰りは同8%になる。

 店内には約30席分のテーブルとカウンターがあり、あんみつやぜんざいを提供。だんごは客の8割が店内で食べ、2割は持ち帰る。今は店内外どちらで食べても同額で、増税後は各料金を併記しようと検討中だ。

 ただ、客によっては持ち帰り用に数十本を注文後、1、2本だけを店内で食べる場合もある。「店内分だけ『やっぱり消費税10%をいただく』と言うのは気が引ける」と西岡さん。

 複数税率対応のレジも購入する予定だが「一律の税率の方がみんな困らない。制度が分かりづらく混乱が起きそうだ」と懸念する。

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 政府は6月の月例経済報告で、国内景気について「緩やかに回復している」との判断を維持。だが、国民に好景気の実感は乏しい。

 「国が発表する景気の数字はトリックだ」。佐賀市白山名店街協同組合代表理事で履物店を営む中牟田均さん(70)は疑念を抱く。市郊外に大型商業施設が進出し中心商店街は空洞化。店の売り上げはバブル期から半減した。「さらに売り上げが落ちるかもしれない」と増税の中止を求める。

 国は消費喚起のため、キャッシュレス決済の利用者に対するポイント還元制度を10月から来年6月まで実施するが、県内のクレジットカード決済率(2014年度)は7・9%で全国ワースト。中牟田さんの店もカード決済する客は全体の約1%にとどまる。

 中牟田さんは「国は地方の実情を知らない。キャッシュレスは普及しておらず効果は限定的ではないか」と指摘。「増税より景気対策が必要だ」と訴える。

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 子育て世代の思いも複雑だ。5~13歳の4人の子どもを育てる佐賀市の主婦(44)は、消費税が8%に上がった14年4月の直前に、かけ込みでマイホームを購入。毎月10万円を超えるローンが20年以上残る上、食費や学費もかさみ「貯金はほとんどできない。生活を直撃する増税は痛い」。

 国は増税分を財源に幼児教育・保育を無償化する計画で、子育て中の親には歓迎の声もある。だが、国と地方の借金を合計した19年度末の長期債務残高は1122兆円になる見込みで、ツケは将来世代が背負う。

 さらに金融庁の金融審議会は老後に夫婦で2千万円の蓄えが必要と試算し、物議を醸した。「年金で老後が成り立つのか不安。子どもへの投資もいいが、高齢者福祉とのバランスを考えて政策を進めてほしい」

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 7月4日公示、21日投開票される見通しの参院選。政治と暮らしを考える。

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