【混戦 参院選福岡】(中)対立 旧民進、共倒れ懸念も

西日本新聞 ふくおか版

 23日夕、立憲民主党代表の枝野幸男の演説を見ようとJR小倉駅前(北九州市)は人だかりができた。「八女市長経験のある野田さんは現場が分かる」。枝野は隣に立つ立民現職の野田国義(61)に手を向けた。

 その4時間前、国民民主党幹事長の平野博文は福岡市であった国民新人の春田久美子(52)の事務所開きに駆け付けた。白いワンピースの春田の隣で「厳しい選挙だが党本部は全力で臨む」と声を上げた。

 共闘を期待する声に反し、旧民進党系が争う構図を招いたのは「近親憎悪」に似た感情のもつれだ。

 国民に入らず無所属になった野田は、参院で両党の野党第1党争いが激化した昨年10月に立民会派入り。反発していた国民党本部は今月上旬、擁立見送り方針だった県連の頭越しに春田の公認を決めた。背景には、国民の参院幹事長がいる静岡選挙区に立民が対抗馬をぶつけたことへの「意趣返し」の意図がある。

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 「相手は女性。党を前面に出さないと負ける」。立民県連幹部は女性候補が躍進した統一選の再来を懸念する。党支持率は野党トップの約10%で社民の推薦も得たが、野田は知名度抜群とは言えず、県連の組織力も心もとないからだ。

 統一選を経て、地方議員は改選前の倍以上の14人に伸びたが、大半は経験の浅い新人で後援会も脆弱(ぜいじゃく)。選出地域も福岡市や市近郊に偏る。人員は不足し、幹事長の藤田一枝自らが遊説の会場予約などに追われることも。基盤がない北九州市に枝野を呼んだのも「少しでも有権者にアピールするため」(県連幹部)だ。

 国民との連携を視野に慎重な物言いをしてきた野田だが、15日の決起集会後、政権への提案路線も掲げる国民に「(野党でも与党でもない)ゆ党なら、自民党にいけばいい」と対抗心をあらわにした。目算が狂ったいら立ちがにじむ。

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 参院選公示予定まで1カ月を切った10日夜。福岡入りし、地方議員と懇談した国民代表代行の大塚耕平は励ますように言った。「空中戦でやれば勝てる」

 国民の党支持率は約1%と低迷。だが、前回参院選でトップ当選した元アナウンサーで選対本部長の古賀之士の知名度は大きな武器だ。さらに「勝つためにいくらでも出す」(党選対委委員長の岸本周平)と豪語できるほどの民進から引き継いだ豊富な資金を投入し、35人の地方議員や支持労組をフル回転させる戦略を描く。

 ただ、党本部主導の擁立劇に県連には不満が渦巻く。ある地方議員は「自分の支援者の半数は既に野田で動いている。いまさら春田をやれない」と戸惑う。擁立に反対した衆院議員の稲富修二は、事務所開きを欠席。「為(ため)書き」も見当たらなかった。

 両党の支援組織の連合福岡は、野田と春田の両者を推薦せざるを得ず、産業別労働組合は二分。連合幹部は「候補を一本化できなかったのは失敗。共倒れになれば元も子もない」と不安を漏らす。

 =敬称略

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