【知ってる?参議院】ドン 「聖域」死守、首相も一目置く

西日本新聞 総合面

 参院には「ドン」と呼ばれる重鎮議員がいる。現在は吉田博美自民党参院幹事長(70)。派閥を超えて自民党参院議員を束ねる存在だ。

 参院議員には、予算の議決などで優越する衆院への対抗意識が強い。一致結束して存在感を示すのに必要なのが仕切り役。そこに権力が集中し、国会運営や閣僚人事に影響力を行使する。ドンの意向は首相も無視できない。参院には解散がなく、首相のけん制が及ばないという事情もある。

 吉田氏は安倍晋三首相と同郷で信頼も厚い。2017年には「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の審議で、委員会の質疑と採決を省き、本会議で採決する異例の手法を主導した。首相は見返りに、その後の内閣改造で通常2人の参院入閣枠を4人に増やしている。

 その吉田氏の「先代」は官房長官などを歴任した青木幹雄氏。当時の小泉純一郎首相から参院の「聖域」を死守した。

 青木氏は党総裁選や郵政民営化で小泉氏を支えた。「自民党をぶっ壊す」と絶叫し、閣僚人事で派閥の推薦を受け付けなかった小泉氏だが、参院には手を付けなかった。参院の閣僚ポスト2を維持し、人選も青木氏の意向を尊重した。

 青木氏の「先代」で、福岡出身の村上正邦氏は参院の「天皇」と呼ばれた。00年には当時の小渕恵三首相の後継選びを主導し、森喜朗政権を誕生させた。1960年代に参院議長を務めた山口県出身の重宗雄三氏も「重宗天皇」と呼ばれ、首相経験者の岸信介、佐藤栄作両氏とともに「長州御三家」と称された。

 ドンは自民党だけの存在ではない。民主党政権には、党幹事長や参院議員会長を務めた輿石東氏がいた。共通しているのは参院の独立性に対する自負心と、政権運営への影響力だ。

 吉田氏は改選を迎える夏の参院選に立候補せず、引退する。4月の記者会見では、後継者の名前を数人挙げ「私の精神を受け継いでもらえると思っている」と述べた。次のドンは誰か、政界の注目が集まる。

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